2019年7月26日 PR
火曜パーソナリティ:尾崎 世界観さん(クリープハイプ)
|番組名が『ACTION』ということで、やってみる、やってみようというテーマがフィーチャーされていますね。尾崎さんご自身は、行動的なタイプですか?
この番組が始まる以前は、どちらかと言えば、自分からあれこれと行動を起こすのは苦手なタイプだと思い込んでいたんです。でも、よくよく考えてみると、子どもの頃はごく自然に友人を誘って遊びに出かけていたんです。たとえ小さなことばかりでも、その行動は自分自身で決めてきました。そんなことを思い返してみると、ふと、今の自分が恥ずかしくなりました。
|子どもの頃にアクションを起こしたことで、印象に残っているエピソードはありますか?
中学生の頃、深夜のラジオの面白さを知りました。眠いけれど頑張って起きていようと思って、少しずつ起きていられる時間を増やしていったんです。その結果、テレビやラジオの「深夜」という時間帯の表現に触れることができました。それこそが自分の作品の根底にあると思います。今の自分にとって、とても大切なアクションだったと感じています。
|奇しくも、今はご自身がパーソナリティを務めてるわけですが、当時の尾崎さんにとってラジオとはどういうものでしたか?
放送局の周波数を合わせるように、自分をラジオに合わせていくものという感覚でした。「こういう人になりたい」と思う方の番組を選んで聴いていましたが、その瞬間は、自分がパーソナリティと同化したような気分を味わえたんです。まだ自分自身というものが確立できていなかった頃は、そんな感覚を楽しんでいました。
|番組が始まって約2か月半ほど経ちましたが、いかがですか。
最初の頃は、何かイライラしたことがあったら、そのエピソードをラジオで言って発散することもあったんです……申し訳なかったんですけど(笑)。でも平日昼間の番組なので、そういう話は慎もうと思い直しました。
|すっかり安定した番組進行ですよね。
ありがとうございます。昔、番組に自分を合わせて聴いていたように、「15時30分からの生放送をやっている」自分に馴染んできた気がします。
|先ほどのお話を踏まえると、それはとてもポジティブな感覚ですよね?
もちろんです。30代半ばになって新しい自分を見つけるなんて収穫だし、まだまだ柔軟に変わっていけたらいいなと思っています。また、番組に生のメールが届いたり、リスナーの方と電話をつないだりする中で、自分が知らなかった発見があるので、非常に価値のある時間になっています。
|番組内で起こすアクションについて、何か意識していることはありますか?
番組では、いろんなことに挑戦しているので、結果的にうまくいかないこともあります。でも、それはそれで面白い面もあると思います。「ダメだったけど、走り出したぞ」という感覚は、自分の中に残りますから。それを体験しているせいか、仕事やプライベートにおいても「新しいこと」に対して寛容になった気がします。
|以前はどんな感じでしたか?
デビュー当時は、とにかく攻めて、強引にでも引き寄せて……という姿勢でしたが、時間が経つと人間はだんだん守りに入るものですよね。知らず知らずのうちに、「以前に得たものを失わないように」という意識が芽ばえていたのかもしれません。最近は、以前なら保留していたような冒険的なアイデアにも抵抗感がなくなってきました。できないからやらないのではなく、できないかもしれないけどやってみる。番組内で気軽に楽しみながらアクションをしたことで、壁のようなものがなくなってきたと思います。
|なるほど。冒険に抵抗感がなくなるというのは、時代の流れも関係しているのでしょうか。
そうかもしれませんね。今、世の中には情報があふれています。昔と違って何ごともデータとして残るようになって、ふだんは格好をつけていても、検索すると、昔の写真やライブ映像が出てきたりします(笑)。これを消そうと躍起になるのではなく、受け入れる覚悟というか、ある種の諦観が必要だと思っています。そうやってみんなが失敗に寛容になれば、より思いきったアクションを起こしやすい時代が来ると思うんです。
|時代性と言えば、番組のコンセプトである「アクション」とは逆に、行動を起こさない「無欲な人」が増えていると言われますよね。
気持ちは分かります。でも、そこに留まることも自分で選んだアクションのひとつなので、否定的に感じる必要はないと思います。人は生きているだけで「しなくてはいけないこと」がたくさんあるので、仮に自分は無欲だと感じているとしても自然にアクションを起こしているはずです。
|先ほどの「どんな小さなことでも」というお話につながりますね。
はい。たとえ同じ場所にいても、世の中が動いているので、結果的に見える風景は変わっていきます。音楽もそうで、新しい試みをするバンドもいれば、同じスタイルを続けるバンドもいます。そんな中で、時代や流行が変わっていくと、古くなることもあれば、逆に新しく感じることもある。それを繰り返していくんだと思います。
|なるほど。見える風景は、時間と、流行と、自分自身の関係性によりますね。
そんな中で、今、僕にできることがあるとすれば、番組を通して世の中の動きを届けることだと思っています。今はアクションを起こしていない方も、「自分はちゃんと意志を持ってここに留まっているんだ」と実感できるような放送ができればいいなと思っています。
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2024年10月25日 発行
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