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イタリアから日本へ。スローウエアという提言。

イタリアから日本へ。スローウエアという提言。

2020年3月19日 PR

2003年、世界のデザインの都たるイタリアで、新たなコンセプトが生まれた。「スローウエア」と名付けられたそのファッション哲学は、今ならスローライフやスローフードとの関連性が即座に頭に浮かぶが、当時は静かな船出だったようだ。と言うのも、この時代の世界の服飾シーンでは、ほぼ真逆の方向のトレンドが形成されつつあったからだ。

IT革命が社会を根底から変える中、その申し子とも言える利便性と時短性を武器に登場したのが、いわゆる「ファストファッション」だ。超短期スパンで次々と繰り出す最新コレクションの数々に、オフショア生産や物流改革が複合的に絡むことで実現する驚異のプライスダウン。やはり同時期に爆発的に普及したSNSや配信サービスと手を取り合うように、人々の日常と購買スタイルを劇的に変えた。

だが、後に「SNS疲れ」が社会問題となるように、ファッション市場でも「減速」を望む大人たちが目立ち始める。愉しみながら選んだ「お気に入りの一着」が、どれほど心を軽くしてくれるか。それを長く着られることが、どれほど人生を豊かに彩ってくれるか。最善と断言できる素材を選び、1ミリの妥協もなくデザインを追い求め、工程を惜しまない丁寧さで縫製する職人たちの存在が、どれほど尊いものなのか。

カジュアルな場面でも「本物」を味わいつつ、それを人生の愉悦のひとつにまで昇華しようとする、イタリア流の服飾哲学。15年以上も前に生まれた提言は、まるで時代の趨勢を予見していたかのように、世界の街角に浸透し始めた。日本にも先ごろ本格上陸を果たしたばかりなので、今回はこのスローウエアについて、少しばかり学んでみた

服飾トレンドよりも、重要なもの。複数のトップブランドが互いに共有するスローウエアという世界観
トップブランド群が描き出す「スローウエア」の世界観

素材選択に徹底したこだわりを持ち、持てる知見と技術を総動員する丁寧な仕事で、長く愛着を持てる一着を。そんな理念を掲げる『スローウエア』は紹介した通り、ファスト時代に対するオルタナティブな社会提言性で注目を浴びるアパレルブランド群だ。

「群」としたことには理由がある。実は、スローウエアという哲学を共有するトップブランドの集合体なのだ。母体は1951年創業の世界的なパンツブランド『インコテックス』で、数十年をかけてイタリア国内の専業ブランドを統合。ニット専門の『ザノーネ』に、アウターの『モンテドーロ』、さらにはシャツの『グランシャツ』を迎え入れつつ、最近ではイタリア製に拘ったシューズ&アクセサリーブランドとして『オフィチーナスローウエア』を新設している。

つまり、スローウエアとは、この5ブランドの総称ということになる。ひとつのコンセプトを共有してより大きな世界観を描くわけだが、各ブランドは今も独立的にコレクションづくりを継続している点がポイントだ。生地やデザイン、仕上げの品質については、厳しい水準をクリアした「同志」とも言える間柄。互いに絶対的な信頼を置き合う中、独自の製品開発に心ゆくまで没頭できる環境を実現しているのだ。この事業体制は、同一の事業基盤を持つにも関わらず、独立スタジオやアトリエ間のコラボのような立体感を生む。各分野で確固たる地位を確立したトップブランドが同じ理想で描き出すスローウエアの世界。というわけで、続いては構成ブランドについて簡単に学んでみよう。

 

>>スローウエアを構成する
5ブランドの特徴とは

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