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撮れ高よりも、楽しむことが大切【写真と生きる】

撮れ高よりも、楽しむことが大切【写真と生きる】

2019年4月25日

「撮れ高」よりも「楽しむこと」を優先する

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[黒田]
それはとても面白い。僕とは写真に対して思っているイメージが全くイメージが違う。たとえば、僕ならカメラがなかったらウユニ塩湖には絶対行かないですよね。

旅に出る場所を選ぶ時は「仕事でここに行かなきゃ」というケースも多そうな気もするんですけどいかがですか?

[詩歩]
そうですね。月に一度は海外に行っているんですけど、仕事で行くことは3回あったら1回ぐらいしかなくて、それ以外は自腹で行くんです。プライペートの旅行のときも、将来、仕事につながるだろうなっていうところだったりとか、あとはこのエリアはこれから話題になりそうだから先取りしておこうかな、という基準で選んでいます。

自分が行きたい場所ベースで選ぶというよりかは、仕事で活かせそうな場所に投資として行く感じですね。

[黒田]
それは本に載せたりするってことですか?

[詩歩]
本でもあるし、取材を受けたりとか、自分で記事を書いたりする時にそう
いう素材があった方が書きやすいので。

[黒田]
そこでもやっぱり写真とか、映像とかを撮るんですよね。1回の旅で何枚ぐらい撮りますか?

[詩歩]
「ここはこのショットだ」というのを決めていくので意外と撮らないです。もちろん、いい場所は他に探しますけど、だいたい事前に構図を考えてから行きます。何枚撮るとかはあまり考えたことがないです。1,000枚とかは撮らないですね(笑)

[黒田]
へえ。撮らないですか? 僕は1週間いたら、余裕で1万枚は撮るかな。1日に2、3,000枚ぐらいですかね。歩いていて、見るもの全てが面白くって。

[詩歩]
私は全然撮らなくて、一眼は基本的に鞄の中なんです(笑)

[黒田]
そういうことか。僕はぶら下げて、スイッチもオンにした状態ですね。ピャッ、ピャッ、ピャッとシャッターが押せるように(笑)

[詩歩]
私は道中の写真は全部スマホで撮っちゃう。でも決めショットだけ一眼を使いますね。重いなと思いながら(笑)

[黒田]
それはいいな。その気持ちに戻るべきな気がしているな、病気だもん、もう(笑)

仕事というか、いい画を1枚でも多く人生に残しておかなければならないというか。

[詩歩]
責任感でしょうか?

[黒田]
責任感……日々チャンス、練習というか、おどろきたいんですよね。何気ないところでもパッと撮ってみると、撮る前のイメージとは全然見え方が違うなという「ズレ」があるんです。これはイケると思ったらイケていて欲しいじゃないですか。でも全然駄目なことがまだあって、ポジティブでもネガティブでも、それがあるうちは楽しめるので、結構好きなんですよね。

でも撮っているときには強迫観念みたいな感覚もあって、純粋にその場、その瞬間を楽しめていないというか。

[詩歩]
それ、私も最初の方はそうでした。2014年の3月に会社を辞めてしばらくは、一眼カメラで撮っても「撮れ高」しか意識していない旅行を1年ぐらいやっていたんですけど、ふと、旅の楽しみを伝えるのが目的なんだということに気がついたんです。

それなのに私自身が旅を楽しんでいないなと思ったんです。そこからは「撮ること」ではなく「楽しむこと」が一番の優先事項になりました。伝えることの優先順位は二番目。旅の途中にも疲れたら休む。詰め込みすぎない。目的をちゃんと決めるようになりました。そこから一眼カメラはもう鞄に入れて、iPhoneでいいんだと思うようになったんです。

[黒田]
その気づきが早いですね(笑)

[詩歩]
旅に行くたびに疲れている自分に気がついて、それって本末転倒だなと思ったんですよ。写真は1日1枚、決めショットがあればいいという気持ちでやるようになりました。

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