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写真のためのコミュニティ【写真と生きる】

写真のためのコミュニティ【写真と生きる】

2018年8月30日

国境を隔てないただ一つの言葉

[黒田]
ところで、ユーザー間のコメントであったり、コミュニケーションも取れるじゃないですか。その中で言語の壁というか、いろいろな言語が飛び交っていると思うんですけど、コミュニケーションは各国のいろんな言語で活発に行われているものなんですかね?

[GEN]
うーん、難しい質問ですね。やっぱりメインは写真ですからね。でも下手な英語でも伝えたいじゃないですか、「キレイな写真ですね」とか。

[黒田]
例えば自分なんかは、写真をあげるとけっこうコメントしてもらえるんですよ。それはすごく嬉しいんですけど、アラビア語とか韓国語とかがすごく多いんです。英語はそんなに多くない。皆さん母国語で普通にコメントしてくるんですよ、それがちょっとおもしろくて。

その他のSNSや写真系サービスだと、大体英語じゃないですか。

[GEN]
それは、例えばInstagramはやっぱりまだ「アメリカ」なのかなと思います。アメリカで一番大きくなったし、そういう意味で英語なのかな。

[黒田]
アメリカのサービスだからですかね?それはあるかもしれないですね。英語ならとりあえず良いのかなという感じでやっているんですかね。

EyeEmは何故かけっこうアラビア語が多くて、でも何を書いている全然わからなくて(笑)

自分の写真に対して何かを言ってくれているんですけど、全くわからない。それは興味深かったですね、本当にグローバルに使われているなというのは始めたばかりの時に感じましたね。

[GEN]
やっぱり グローバルなコミュニティ を作りたいというのがメインです。日本の写真、ニューヨークの写真、シンガポールの写真、ベルギーの写真、どこでもそれぞれキレイな写真を撮っている人はいるんですよね。

[黒田]
そうですよね。全世界にいっぱいいますよね。

[GEN]
グローバルですから、それが好きなんですね。パリでカッコいい白黒の写真を撮っているのを見て、日本で白黒の写真を撮ってもそれはパリの良さとは違うんですよね。やっぱり空気が。光も太陽も違うから。街並みにも違いがある。

そして携帯やライカでも違う(笑)。そういう多様性が好きで。全部同じだったらつまらないじゃないですか。

[黒田]
ライカすきですね(笑)、しかし本当にそうですね。また写真というメディアはグローバルな言語の壁を取っ払って、共通言語じゃないですか。実際にコメント欄で会話が出来なかったとしても、ビジュアルで会話できる。

「この写真好きだな」と海外の方が自分の写真について思ってくれることもあるわけです、実際に。それは非常に面白いですよね。全然言葉の壁のないサービスだなと。

[GEN]
そうですね。Instagramの写真やストーリーだってイメージですよね。そういうビジュアルが気持ちの部分も一番簡単に伝えられるんじゃないかな。

[黒田]
ほんとに面白いですね。

ストックフォトと芸術を発表する場の両立

[黒田]
そんな中でも、EyeEmでは写真を中心にして、フォトグラファーが登録して写真をアップロードしている。フォトグラファーはそれをマーケットで販売したりして世界とつながっていくと。

本当にフォトグラファーのためですよね。それがアマチュアだろうがプロフェッショナルだろうが。

[GEN]
ライセンスだけの問題ではなくて、アートとしての場でもある。それがかなり大事なんですけど。ストックフォトだけだとまた違ってくるし、バランスをとるのがとても難しいけれど、それが一番の多様性だと思います。またチャレンジングでもあります。

[黒田]
なるほど、たしかにチャレンジングですね。両立していくのは。

[GEN]
アーティストの人たちはやっぱりストックフォトとか好きじゃないですよね。だからそうしたイメージを変えたいという気持ちはあります。

「ストックフォト」 と言ったら、ドイツやヨーロッパではやっぱり良くないイメージです。でもライセンシングだったらみんなわかるんです、そうした言葉を変えたい。けど、それがとても難しい。

[黒田]
1x.com という審査型の写真投稿サイトはご存知ですか?それは審査通過した写真だけギャラリーに掲載されるスウェーデンのウェブサイトなんですけど。

フォトグラファーが写真をアップロードして、キュレーターがそれをピックアップして、選ばれたものだけが公開されているんですがそれがまたかなりのアート志向なんです。偏っているくらい。そしておもしろいのが、その写真を販売もできるんです。これはEyeEmと同じモデルだと思います。

そこに登録している人は殆ど全員アーティストとして活動しているので、やはりバランスが難しくて、そこは苦労されているみたいですね。しかし、実際に売れたりしてるんですよ。それがまたおもしろかったりする。

[GEN]
売れると思います。誰がキュレーターをしているのかは分かんないですが、きちんと審査されていれば芸術写真でも売れますね。

[黒田]
大事ですね、そこは。

[GEN]
大事だと思います、そしてクライアントが何を買うかも大事ですし。

[黒田]
ギャラリーなどでも使われたりするみたいです。

[GEN]
ストックフォトだけじゃなくて、 イエローコーナー みたいにプリントして販売するようなサービスなのかな。そういうものは日本にもありますか?

イエローコーナーはパリやロンドンに店舗があって、いろんな写真が買えるというコンセプトなんですけど。

[黒田]
日本にもあります。 イエローコーナー は東京にも店舗があって、日本での展開はアマナさんの取り組みですよね。ただ、文化として広まっているかというと、まだまだ広まる余地はあるなという感じですね。

[GEN]
聞いた話なんですけど、日本は写真を小さく買う。外国は写真を大きく買う。どうしてかというと家のサイズが違うサイズから(笑)

[黒田]
それは確かによく言われますね。でもたとえば、ドイツとかそんなに広くないじゃないですか?

[GEN]
僕たちの部屋は120平米のマンションです。それも僕だけじゃないです。80、90、100平米、皆さん簡単に持っていますから。

[黒田]
120!それは違いますね。大きい写真飾れますね。

あとは賃貸物件では壁に穴を開けてはいけないというのはヨーロッパも一緒ですか?

[GEN]
穴を開けたら引っ越しの時に詰めなきゃダメとかはありますが、ヨーロッパは古い建物だから、壁も大きいし、詰めたら大丈夫。日本だと穴を開けたら壁が全部壊れちゃうような壁なのでダメなんじゃないかなと思いますね(笑)

飾ったら壁がバーンと壊れてしまいそうな(笑)

[黒田]
粉々になって隣の人と「こんにちは」してしまう可能性があると(笑)それは確かに危険ですね。そんなことはないと思いますが(笑)、いずれにせよ穴を開ける人は少ないと思います。

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