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アートは人を救うものだと思っている【写真と生きる】

アートは人を救うものだと思っている【写真と生きる】

2018年7月26日

なぜ「浅間」なのか

[速水]
御代田町でやることなのに、そして御代田町の町おこしですることなのになぜ「浅間なんですか」って皆さんに聞かれるんですが、将来的には御代田町に閉じたものではなくて、軽井沢ですとか小諸ですとか、もっと言えば北軽井沢の方ですとか、広域で育っていくインターナショナルフォトフェスティバルになってほしいという気持ちもこめて、浅間国際フォトフェスティバルという名前をつけました。

[黒田]
なるほど、浅間なら聞いたことある人も多いでしょうしね。

[速水]
フェスのコンセプトは、先ほどもお話しましたように、コンテンツディレクターが太田(太田睦子氏)ですので、太田がしっかりとコンテンツを決めています。

文化・高原公園都市を標榜している御代田町なので、公園というのは人と人との交流の場であったり文化ということ自体がやはり交流だったり。さらには日本って本当にカメラ大国じゃないですか、皆さんその最中にいらっしゃると思うんですけど。そのカメラ大国の中でカメラ大国日本らしいフェスティバルというのを開催するべきなんじゃないかというコンセプトです。

で、プレフェスティバルのテーマは「Return to camera」。写真に還るという言うことで、カメラオブスキュラが生まれた時から今の最新のVR技術ですとか様々な見せ方がある中で、そのそれぞれを楽しんでいただけるようなフェスティバルにしましょうという意味もこめて、Return to cameraという名前にしていると思います。

[黒田]
いいですねえ。すごくいいです。

[速水]
そして8月11日から9月末まで、エリアというのは先ほどお話をしましたとおり、プレなので小規模高品質ということで、5300坪の土地の中で屋内外様々な表現を使ってやっていくと。主催は浅間国際フォトフェスティバル実行委員会になりますので、これは御代田町とアマナの合同組織になります。委員長が御代田町長、副委員長がアマナの進藤、コンテンツディレクターが太田、もちろん私もその実行委員会のメンバーです。

[黒田]
ちなみに5300坪って言うのは、美術館の土地ですか?

[速水]
そうです、まさにあそこ一体が全部で5300坪です。

[黒田]
じゃあ全体として美術館の土地だったんですね?

[速水]
美術館として使われていたエリアということですね。この土地の中には散策路があり、美術館本館として使われていた建物があり、ウイスキーの試飲ができた建物があり、さらにレストランもあったんですね。なので4つ大きな建物が建っていてそれがそれぞれに使われていて、その一帯がメルシャン軽井沢美術館と呼ばれていました。

[黒田]
なるほど。5300坪って相当大きいですよね。一見森のように見えるので。

[速水]
是非夏にお越しいただきたいのですが本当に美しい建物なんですよ。
フランス人のジャン・ミシェル・ヴィルモットというかなり著名な建築家が、古いウイスキーの蒸留所・貯蔵庫をリデザインして、美術館に生まれ変わらせたのだと伺っています。蔦が這っていて今の時期は緑で美しいですし、秋の時期は真っ赤に紅葉して本当にきれいです。

[黒田]
季節感ありますね。かなり壮観だと思います。

[速水]
今構想中の屋内外の展示についてですが、例えば藤原聡志さんの大型で立体的な展示、以前のIMA記事のテーマが「立体化する写真」だったと思うんですけど、まさにそういうことを実際に見せていく。平面的ではない、平面的だったとしても非常に大きかったりとか、立体的だったり、今までとは違う感じ方楽しみ方をしていただける写真の見せ方を様々に展示をするという。建物の屋内外をそれぞれ歩いて楽しんでいただきながら、たとえばうつゆみこさんの展示は森の中でのきのこ探しをするみたいな感じで。

[黒田]
インスタレーションのような要素もあるんですね。

[速水]
そうなんです。アートフォトなんですが、モダンアートのインスタレーションとほぼ境目がないです。

[黒田]
そのイメージはありますね。取り組み自体がモダンだと思いますし。

[速水]
インターナショナルの名前に恥じることがない国内外のいろんな作家さんたち、主に若手の方を中心に、そんな感じで予定しています。

コンセプトに基づいた展示はもちろん、私たちの最終目標は写真を楽しむという事ですから、やはり総合的に楽しんでいただきたいというのがありまして、メイン展示だけでなくて様々な関連するイベントを用意しようとしています。現在は映画のイベント、ワークショップ、写真教室、もう一つは広場コンテンツ(フォトブースやフードや物販ブース)なんですが、映画のイベントに関しては去年のカンヌで最優秀ドキュメンタリー賞を取っている、ヌーヴェルヴァーグの唯一の女性監督アニエス・ヴァルダと若手アーティストJRが、二人でフランスの田舎町を旅して作品を作っていくという、なんてこのフェスにピッタリなんだという映画がありまして、それが今年の秋公開されるんですね。それに先駆けましてその上映会をこの御代田でやろうということになっております。

あとはワークショップや写真教室とか広場コンテンツですね。このトレーラーを是非ご覧いただきたいんですけど。

「Faces Places(英題)」

[速水]
JRとアニエス・ヴァルダがトラックに乗って旅をするわけですよ。

[黒田]
ロードムービーみたいな感じなんですね。

[速水]
トラックが写真の撮影ブースになっていて、そこで撮影した写真を町中に貼っていくというプロジェクトなんです。

[黒田]
それはおもしろいですね。ドキュメンタリーでもあると。

[速水]
これが今年の秋に日本で公開されるっていうのが奇跡みたいだなと。ヴィザージュ・ヴィラージュとは顔と村々という意味ですね。で、映画の上映を御代田町でやるのと同時にこのフォトブースを御代田町に持っていって町民の方々の写真を撮って、会場に貼るということをします。

町の人たちにとっては、恐らく初めてであろう自分の顔がこんなに大きく印刷されて貼られるという体験をしていただく、これはもうまさに五感で感じる写真ということですね。

[黒田]
日本では中々生まれなさそうな発想ですね、、、。すごいな。

[速水]
こういったこともやりますし、アマナ所属のカメラマン小山(小山 一成)が、プロジェクトが始まった直後から御代田の四季を撮り溜めているんです。

それが本当に素敵な写真で、本当に公園の多い御代田、浅間山の麓の非常に美しい自然があり、竜神祭りというお祭りもあったり、高原野菜が名物なのでブロッコリー畑などもあり、美しい浅間山をいつも見られる、様々な表情を見せる本当に美しい町。そうしたものも同時に展示をする予定です。

[黒田]
そういった写真があるのも良いですね。

[速水]
あとはキッチンカーや地元のレタスを使ったホットドックとかそういったものも楽しんでいただければと。

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