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写真のためではない写真【写真と生きる】

写真のためではない写真【写真と生きる】

2018年5月24日

プロジェクトとしての「IMA」

imahttps://imaonline.jp/

[黒田]
まず、最初にプロジェクトとしての「IMA」についてお伺いしたいです。自分がIMAに触れたきっかけって、先程お話したとおり雑誌からなのですね。
単純に装丁も綺麗だし、表紙に関しても写真誌というよりはアートマガジンのような印象を受けまして。つまり、雑誌としてのIMAしか知らなかったんです。
しかし IMA ONLINE を拝見していると、 「IMAプロジェクト」 という形で、スクール系のコンテンツであったりとか、写真集制作など様々な活動を展開していますよね。同じコンセプトの元で展開されているんだと思うのですが、そのあたりについてお伺いできればと思ってます。

[太田]
正確に言うと、雑誌より少し先に 「IMA ONLINE」 を始めているんです。その後2012年の3月にゼロ号として 「IMA Vol.0 2012 spring/summer  LIVING WITH PHOTOGRAPHY 特集 写真集の現在」 を無料配布(当時)しました。
私がそれまでのキャリアで雑誌に携わってきた経験では、普通は雑誌のダミー版と言われるゼロ号は、特集などのいくつかの記事はあっても、ほとんどのページは白なんですよ。
創刊前にどういうイメージの雑誌になるのかが伝わればいいので。しかし、その時に弊社社長が、「せっかく作るんだから雑誌の中は完全版を作ろうよ」と言い出しまして。「ん?それがどれだけ大変なことか分かってるのかな?」と、内心びっくりしたことは今でも覚えています(笑)
アマナが出版社ではないという事もあってできた、業界常識に左右されない素直な発想だったんですよね。

[黒田]
ゼロ号で全て作るとなると、それは結構なリソースが要りますね。

[太田]
そうなんです。しかも、それを言われたのが12月で、来年の3月には刊行するというスケジュールだったので。とはいえ、一応それぐらいのボリューム感であれば実現可能と判断して編集スタッフにも参加してもらいながら作りあげました。
普通ゼロ号はクライアントとか書店などの流通に見せて歩く事になるんですけど、そこもやっぱり普通の出版社とは違う考えでした。いわゆるプロモーションとして「無料で配布しよう」と。ポスター作ったり交通広告とか出さない代わりに、本誌を無償で実際に読者の方に見て頂こうということになったんですね。例えばTSUTAYAさんなどの書店にお願いをして、配布して頂いたりもしました。「配布されたの持ってます」と言ってくださる方には結構今でもお会いすることがあったりします。ゼロ号は何部配ったんだろう。

[黒田]
それ気になりますね~。

[太田]
結構な部数を配ったんですよね。確か。何百とかじゃなくて、何千部という数を配ったんですよ。

[黒田]
本当普通に作ってますね(笑) スクラッチで作り上げるには中々難しい期間だったと思いますけど、ダミーとしてではなく、本当にちゃんと雑誌を作ったんですねえ。すごいです。

[太田]
はい。そうなんです。それで知ってくださったりとかした人も多く、配布の効果はリアルに実感できる手応えがありましたね。実際に創刊した時にも、「ああ、あの雑誌か」みたいな感じで買ってくださる方も多かったですし。
そういう形でIMAの雑誌はスタートしました。
実際の創刊は8月で、4月ぐらいに先んじて IMA ONLINE を立ち上げてました。
ただ、 IMA ONLINE はまた雑誌とは全然違うスタンスでした。どちらもコンセプトとしては 「LIVING WITH PHOTOGRAPHY」 という、もっと日本人の生活の中に写真をというテーマではあるんですけどね。

[黒田]
そうなんですね。そのテーマは、この連載のタイトルである「写真と生きる」にも通ずるモノがあるように思います。

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