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フィルムの距離感は、片思いと似ている

フィルムの距離感は、片思いと似ている

2017年12月14日

アートに触れていた幼少期

[黒田]
じゃあバックグラウンドとして、写真に関連したものがあったりとか、仕事で何かしら作品を作って表現するような事をされていたとかいうわけじゃ無いんですか?

[護]
根本で言うと、 母が画家 なので、アートというもの自体は小さい頃から画集が置いてあったり、いろんな絵の模写が家に飾ってあったりして、 自分自身も絵を描いた りしていました。
そんなこともあったので、アート自体は元々、親しみのあるものでした。父も普段はエンジニアをやっているんですが、趣味でフィルムカメラとか撮って、家族で記念写真をいっぱい撮っていたんですよ。そういうことがありまして、改めて触れてみたら面白いなと思ったんです。
父にカメラのことを聞きに行ったりしましたね。たぶんポイントはあったんだと思うんですけど、たまたま数年前にきっかけが偶然、重なったというか。

[黒田]
それは結構、納得感ありますね。

[護]
本当ですか?納得してもらえなかったらどうしようと思っていました(笑)。

[黒田]
謎は解けたというか。自分は写真を仕事でやっているんですけど、3年前くらいまで全然関係ないエンジニアの仕事をしていて、カメラは趣味でやっていたんです。そしたらなぜか仕事になっちゃったんですけど(笑)。
自分もけっこう突飛というか、なぜそうなったのか説明しづらい感情の変化みたいなもので写真が仕事になったので「みんなはなんでなんだろう」みたいな疑問が常にありまして、護さんは表現の活動とかされていて、そこで紐づくものだったのかなと思っていたんですけど、どちらかと言うと生まれと言うか、環境で下地はあったんでしょうね。

[護]
そうですね。
環境と言えば…私はカンボジアのハーフなんです。

[黒田]
カンボジア?アンコールワットのですか?

[護]
そうです。カンボジアの家族って、昔はカンボジア大使館の中にアパートみたいなところがありまして、そこに住めたんですよ。
小さい時だからそう思っていただけなんですけど、森の中の一本道の石畳をずっと抜けていくと、奥に一棟だけ石造りで、ワンフロアに1家族しか住んでいない、5階建てのアパートがありまして、家族でそこに住んでいたんですよ。

[黒田]
子供の時ですか?

[護]
そうです。それがとても印象的で、1部屋は母のアトリエになっていました。今はカンボジア大使館の中を立て直すということで、母の実家に引っ越して住んでいるんですけど、母の実家なので基本的にどの部屋も全部アトリエみたいな感じで。そういう環境でした。

[黒田]
創作物 と 向き合うのが日常的 だったというわけですね。

[護]
そうですね。ですので、母が個展用に書いた絵を「どう?」とか聞かれたり、モデルになることもあったりしますし、兄も音楽をやっていたりとか、みんな自由なんですよね。

[黒田]
自由というか、クリエイター一家というか、芸術一家みたいな感じですね。

[護]
良く言えばそうですね(笑)。

[黒田]
一般家庭に比べたらだいぶ違う気がします。(笑)カンボジア大使館ってどこにありますか?

[護]
赤坂のTBSとか、ebsとかの近くですね。

[黒田]
それでは駅前ですね。うちの実家の周りに大使館がいっぱいあって、そのうちの一つかなと思ったんですけど。

[護]
だいたい似たような感じですね。

[黒田]
子どもながらに身近ではあったので、行ったことはないですけど想像できるんですよ。石畳で真っ白い塀に敷地があって、外から見る感じでも「日本じゃないでしょこれ」という。確かにあの中に住んでいたらちょっと普通じゃないですね。

[護]
ちょっとしたファンタジー体験じゃないですけど(笑)、5歳までしかいなかったので、自分の中で美化しているのかもしれません。

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