2022年4月15日 PR
十人のプレーヤーに対してゴルフに打ち込む理由を訊ねたら、どんな答が返ってくるだろうか。「そりゃ上達したいからさ」「仲間と共通の趣味だからかな」「理想のショットを打てた時の感動に勝るもの無し!」「グリーンの開放感」「上達に合わせてのギア選びがまた楽しくてね」…と、さまざまな言葉が飛び交うだろう。
まさに十人十色、これが百人いたらと想像するのもまたゴルフの愉しみのひとつだったりする。好きな理由の多彩さは奥深さである証でもあるが、では、質問をもうひとつ。あなたの今後の目標は? 恐らく、答の種類はさほど多くはないだろう。と言うより、少し意訳すれば、ほぼ全員が意見を同じくするはずだ。それは、「目標スコアでプレイすること」。
入門者は入門者なりに、上級者はストイックに、プロは人生を賭けてスコアアップを目指すゴルフ。パターやアプローチも含めて課題は人それぞれでも、最高のショットに向けてクラブ選びに悩むのは、古今東西、万国共通の光景。そんな時に参考にするのが、憧れのトッププロの姿だ。
マスターズ優勝で感動を巻き起こした松山英樹プロの大活躍で注目を浴びたのが、彼のクラブだ。埼玉県秩父市に本拠を置く『グラファイトデザイン』は、日本が誇るカーボンシャフトの専門メーカー。実は、国内プロツアーでは多数のトッププロたちが愛用する定番シャフトで、今月は新ブランドを発表するなど、さらに勢いに乗る。
創業30余年、今も職人技術にこだわり続けるカーボンシャフトの雄。そこで今回は、GD社の代表と開発現場に話を聞いた。
スチールからカーボンに至るシャフトのパラダイムシフトの先導役の一角として、現在は女性やアマ向けのコレクションも豊富に展開するグラファイトデザイン。社内は約9割が地元・秩父にゆかりを持つ社員で占められ、全員が正規雇用という。
この効率一辺倒の時代に、今も職人気質を貫く同社。山田拓郎代表に、今後の展望などをうかがった。
山田社長(左)と聞き手のビズスタ・佐原雅之編集長(右)。今回の取材では、発売前のRAUNEの試打に臨むという役得も。その結果はいかに…。
弊社は、1989年に私の父が設立した会社です。本人は、前職もゴルフ事業部を持つメーカーで、やはりシャフト製造を担当していたそうです。もともとプロ志望だったので、評価まで自分でこなしていたようですね。
ゴルフボールを飛ばすという点で、シャフトはある意味でエンジンのような役割を果たします。エフェクトはあっても変形はしないヘッド部分に対し、シャフトはクラブをスイングする際に自分自身が動いて弾道に影響します。感覚的な好みまで含めれば、本来は百人いれば百通りの特性があるべき製品ですので、専門家として追究するに相応しい分野だと思っています。
弊社には日本ミッドアマチュアゴルフ選手権で優勝経験を持つトップアマのスタッフが在籍しています。ツアー担当として日々トーナメント会場を渡り歩いているので、もちろん品質に対しては非常に厳しく、歯に衣着せずシビアに評価します。これは父も同様でしたが、プロ水準の視点が社内にあるおかげで、妥協のないシャフトづくりを貫くことができています。
クラブを試打した直後に感想を求めると、本人にしか分からない言葉が返ってきたりしますよね。「ヒュッと」「フワッと」といった感覚的な表現でも、それがプロの口から出たのであれば、彼は数値として提示できる。同業者として感覚を共有し、それを専門家として製品づくりにフィードバックできるわけですね。
『ツアーAD』も、もとはプロゴルファーが求める飛距離と方向性を追い求めたシャフトです。実際にトッププロにもご愛用いただいていて、たとえば松山英樹選手は十年来のユーザです。他社製シャフトを試しても、必ず戻ってきてくださるので、それだけご信頼いただいているのだと自負しています。
松山選手と言えばマスターズ優勝が記憶に新しいですが、ここ秩父で造ったシャフトが彼の世界一に貢献したシーンには、心の底から感動しました。彼だけではなく、ご使用のプロが勝利するシーン、最高のショットで歓喜する光景こそ、先代の時代から不変の私たちの原動力です。
ただ、そうした印象が鮮烈なせいか、ツアーADは「プロ向け」「男子向け」というイメージをお持ちの方もおられます。そうではなく、弊社製品は、女子プロはもちろんアマチュアの方にも広くお使いいただける「ゴルフが楽しくなるギア」をお届けできるよう、今後はさらに裾野を広げていきたいと考えています。
ハイブリッド・ウェッジ・アイアン向けシャフト RAUNE:本体価格 9,900円(税込)~〈日本製〉
この4月に立ち上げた『ラウネ』も、そんな想いを込めた弊社の新ブランドです。2年間の構想期間をかけたのですが、開発担当に若手スタッフを抜擢するなどの改革を断行した結果、従来とはまた少し異なる個性を持つ製品へと仕上がりました。発売に合わせて全国各地で試打会を開催する計画も進めておりますので、ぜひ気軽にお試しいただきたいですね。
グラファイトデザインが今月発売した『ラウネ』は、攻めのゴルファーのNERAU=狙う姿勢をアナグラムで表現した同社の新ブランド。山田社長の説明通り、同社の若手スタッフが主導する形で開発が進められた意欲的な製品で、これまで証明されてきた技術力を背景に新鮮な発想が息づく注目商品だ。
開発チームの支柱を担った西澤修一氏は、何とまだ二十代という若さ。モディファイの経験はあるものの、ゼロからの開発はもちろん初めて。プロジェクトの立ち上げにあたっては、スチール製が主流のアイアン用シャフトの常識を崩すような発想を求められ、まずはウェッジから始めたそうだ。
「スチール製シャフトの利点としては、まずショートアイアンでのコントロール性の良さが挙げられます。すぐ弾かずフェースに乗る時間が長いので、ボールをコントロールしたいプレーヤーには特にマッチすると思います。ただし、設計の自由度が低く、長さの違いでアイアンとしての性能差を出しづらいという難点があります」。
たとえば、スチール製のロングアイアンは「球を拾う」動きが少ない。ロフトがずっと立つとパワーが必要になり、女性プロや一般アマでは球が上がりにくいはず…。そんな視点から、まず「カーボンの設計自由度の高さを活かす」という考え方が開発の中心に据えられた。
いざ試作が始まるが当初は失敗の連続で、「最初の半年間は何もできなかったに等しい」と西澤氏。やむを得ず、過去のカーボンの積層方法や設計パターン、さらには材料の見直しにまで立ち返った結果、もっと「柔らかい」方がいいのではないか…という仮説に行き着き、多種多様な柔らかさを持つシャフトを試作。その結果、ウェッジから始めてアイアンシリーズを完成するまで、実に2年もの時間が経過していた。
大苦戦の末に手応えを得たラウネの開発。製品としてのポイントをうかがうと、「憧れの弾道が打てる」という歯切れのよい答が返ってきた。低い打ち出しからホップし、着弾時は緩やかにグリーンに止まる…。パワーと技術が必須となるだけでなく、そもそもカーボンシャフトの弱点とも目されたいわゆる「めくれ球」を容易に実現できるシャフト。アマチュアが同じように振ってもショートとロングによる球筋の個性がしっかり現れるシャフト。西澤氏の解説には、苦労に苦労を重ねた末の緩ぎない自信が滲む。
さらにもうひとつ、「胸のすく打感」の演出にもこだわったという。多用される表現である一方で数値化できない「打感」だが、自身もコースに出るスタッフが多い同社スタッフに試打を依頼し、各自の肉声による評価に耳を傾ける作業を繰り返す。「根気よく改良を続けたのですが、最終的には75gの3番アイアンでの試打でスタッフから好反応が集中したのを見て、開発の成功を確信しました」
データに基づく判断は極めて必要でも、それが固定観念になって「人の感覚」を阻害しては意味がない。機械任せではなく、全工程で職人の手と目を重視するのは、GD社の伝統でもある。そんな姿勢に、未来を担う若者の自由な視点を掛け合わせて完成へと漕ぎ着けたラウネ。日本が誇るシャフトメーカーが新たなアプローチから立ち上げた最新ブランド、これは試してみる価値がありそうだ。
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2024年10月25日 発行
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