2022年12月15日
目に焼き付くほどの存在感と、難役ほど輝きが増す圧巻の演技力で、近年は国際的な映画祭でも受賞歴を重ねる役所広司さん。年明けの1月6日には、最新の主演作となる『ファミリア』がいよいよ公開を迎える。
今回は、社会から疎外された在日ブラジル人青年に手を差し伸べる陶器職人役を演じる。絶望が絶望を呼び込む物語の中で、人に心を許さない不器用な男と、異国の地で希望を見失った青年たちが見た家族の肖像とは。人間ドラマの名手・成島出監督と10年ぶりにタッグを組んだ話題作についてうかがった。
|今回の作品は、監督から直接プロットをお聞きになってご出演を快諾されたとか。撮影を終えてのご心境は?
ともに生きる外国人の方々を含めた今の日本について、リアリティたっぷりにご覧いただける映画になったと思います。少子化が進んで外国人に頼らざるを得ない社会になることは理解できても、では彼らがどう暮らしているのかと言えば、僕たちは詳しく知りませんよね。そんな部分まで含めた「現実の日本」を描く作品に仕上がりました。
|1995年の主演作『KAMIKAZE TAXI』では、ペルー育ちの日系人タクシー運転手という役柄を演じられました。今回は、いわば逆の立場ですね。
そうですね。あの時、日系ブラジル人の方に詳しく取材したのですが、今回の作品で描かれている人々の境遇とほとんど変わらないんです。異国の地で働く方々のご苦労が改めて身にしみました。
|物語の核となる在日ブラジル人キャストたちの熱演が印象的ですが、実は演技経験がないそうですね。
そうなんです。成島監督はご病気でしばらく休養されていたので体力を心配していましたが、以前に増して気力十分で。オーディションでは彼らの可能性を見抜き、撮影現場では愛情一杯に指導しておられました。
|息子役の吉沢亮さんとは映画初共演とか。
はい。本職の俳優ではない子たちを見事にまとめてくれました。この作品が予定通りクランクインしていれば、彼が主演の大河ドラマの前に撮影していたはずでしたが、コロナ禍の影響で日程が逆になった分、大役を務めあげた経験の重みを
感じましたね。
|奇しくも今月は「家族との時間」がテーマなのですが、ご家族との思い出をひとつお聞かせくださいますか?
息子がまだ小さい頃、僕が運転する車で九州の実家に帰省したのが印象深いですね。休みながら、寄り道しながらの道中ですので、子どもの目には小さな冒険の連続のはずなのですが、どうやら彼はあんまり覚えていないようで(笑)。でも、きっと、ふとした時に想い出すのでしょう。家族としても、俳優にとっても、記憶や経験は貴重な糧ですから。
|では、最後に本サイト読者へのメッセージを。
タイトルの『ファミリア』には「痛みや悲しみ、喜びを共有できる人間関係」の素晴らしさに対する思いが込められています。観終わった後に「離れて暮らす家族に会いに行こうかな」「大切な人に連絡してみようかな」と思っていただければ嬉しいですね。
俳優 役所広司さん
1956年1月1日生まれ、長崎県諫早市出身。
96年には映画『Shall we ダンス?』『眠る男』『シャブ極道』において国内の映画賞で主演男優賞を独占。
カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した『うなぎ』、東京国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した『CURE』(ともに97年)など、国際的にも高い評価を受ける。
2012年には紫綬褒章を受章。近年では第42回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞を受賞した白石和彌監督『孤狼の血』(2018年)、シカゴ国際映画祭で最優秀演技賞を受賞した西川美和監督『すばらしき世界』、小泉尭史監督『峠 最後のサムライ』(2022年)などに主演。
今後は映画「銀河鉄道の父」が23年GW全国公開、Netflixシリーズ『THE DAYS』が23年配信予定。
またヴィム・ヴェンダース監督によるプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の映画にも出演予定。
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2024年10月25日 発行
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