2021年4月28日
昨年に新装を果たしたパルコ劇場のこけら落とし公演として大きな注目を浴びたP・シェーファーの大作「ピサロ」。1985年に同劇場で上演された壮大な歴史劇の再演で、当時はアタウアルパを演じた渡辺謙氏が主演を務めることでも話題を呼んだが、コロナ禍を受けて初日から延期に。その後は45公演の予定が10公演で休演となった。
しかし、何とか上演を願う演劇ファンのリクエストが殺到し、アンコール公演が決定。というわけで、再度の開演を来月に控える渡辺謙氏に、改めて作品への想いなどをうかがった。
|山﨑努さんと共演された「ピサロ」ですが、今回はご自身が主演ということで、感慨深いのでは。
36年前の「ピサロ」は、自分にとって大きなエポックでしたからね。この劇場での仕事は個人的に印象的な作品が多いのですが、今回は前回以上にとんでもないことになりました(笑)。
|作品との距離感はいかがですか?
身体の中に自然と残っているものはありますが、最初からビルドアップし直しています。台本を開いて、言葉を紡いで、稽古を重ねてみて初めてつかめる感覚がありますから。
|中断や中止が発生すると、心身とも体制を整えるのが大変では。
こればかりは仕方がありませんからね。でも、僕はひとつの仕事を終えると2か月ほどブランクを置くのが常なので、自然に整えられているのかもしれません。
|休演・延期からの中止は想定外ですよね。
初めてですね。舞台に限らず、映画やテレビドラマでもそれぞれに紆余曲折があり、ひとつの旅のように感じるものなのですが、今回は作品の方向性が見えてきたところでの中止でしたので、何とも心残りでした。再びこの役と向き合う機会をいただけて、本当に嬉しく思っています。
|最近は無観客の公演などもありますね。
僕も経験がありますが、衣装もメイクも本番同様で臨んでも、そこに演技を届けるべき人がいないと舞台表現は完成しないことを痛感しましたね。舞台上と客席とでバイブレーションの交換のようなものがありますので、今回、自粛期間が明けて再び皆さんの前に立てた時は心が震えました(笑)。演者も、客席も、劇場自体も、最初の音楽が鳴るその瞬間を熱望していたことが肌で分かるんです。この1年は、表現者である自分を感覚的に見つめ直す機会として、ひとつの分岐点になった気がします。
|では、読者にメッセージをお願いします。
「ピサロ」は、どなたがご覧になってもご満足いただける舞台になると思います。壮大な探検と征服の物語なのですが、実はちっぽけな人間の小さなエピソードが折り重なる話でもあって。両極端に振れる大きな振り子のようで、本当に魅力的な作品です。その分、大変な思いで演じることになりますが、だからこそ面白い。大きなやりがいを胸に臨みますので、ぜひ足をお運びください。
2020年コロナ禍でわずか10回という幻の上演となった伝説の舞台がアンコール上演!
将軍・渡辺謙とインカ王・宮沢氷魚が対決。今に響く傑作、再び!
会場/PARCO劇場(東京都)
日程/5月15日(土)~6月6日(日)
作:ピーター・シェーファー 翻訳:伊丹十三 演出:ウィル・タケット
出演:渡辺謙/宮沢氷魚/栗原英雄/大鶴佐助/首藤康之/菊池均也/浅野雅博/窪塚俊介
氷にも耐えうるアウター、こだわりの”カナダグース”46617pv
トヨタが提案する車のサブスクリプションサービス43748pv
上に乗るだけで体幹づくり、ドクターエアの威力とは42821pv
2024年10月25日 発行
最近見た記事