2024年2月22日
俳優として多数の映画やドラマを彩りつつ、柔らかな物腰で司会業でも絶大な支持を得る谷原章介さん。この春に日本青年館ホールで上演予定の舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』では、日本ミュージカル界のトップスターとして名高い花總まりさんとの初共演に臨む。原作はカナダの作家アンドリュー・カウフマンのファンタジー小説で、「舞台化不可能」とも言われた不思議な作品世界をどう演じるのか。今回は、今月のテーマ「ギフト」の話題とともに、世界初舞台化に挑む心境をうかがった。
|まずは作品の大まかな内容をお聞かせください。
優しい夫で妻に寄り添いながら暮らしているのに意識のズレからすれ違う、そんな夫婦が描かれています。ネタバレになりますので詳しくは言えないのですが、登場人物たちに降り掛かる不思議な事象の数々は暗喩としてさまざまな解釈を生みますので、読み解きも楽しんでいただける作品です。
|奇想天外な展開に惹きつけられますが、役者としては表現が難しいのでは。
そうなんです。物語内で起こる出来事もさることながら、時間軸もぽんぽんと飛びますからね。原作をコンパクトにまとめながら、日本青年館ホールという大きな劇場の中でどんな舞台に仕上げるのか、本当に楽しみです。
|今回は花總まりさんとの共演も注目されています。
さすがに宝塚でトップを張ってこられた方だなあと感服しています。撮影の段階から、きちんと呼吸を合わせてくださるんですよ。もう、高貴な方という印象ですね。
|谷原さんはとにかく多方面でご活躍中ですが、映画やドラマと舞台との違いは。
どれも「演じる」仕事ですので、感覚的にはさほど大きくは変わらないですね。ただ、それぞれのメディアの特性がありますので、その違いに応じてしっかりアジャストすることを意識しています。
|舞台の特性は?
長い上演期間の中では同じ場面を繰り返しますので、少しずつ違う方法にトライすることができるんです。同じセリフを喋るたびに新しい発見があって、次の演技の糧となるんですよね。撮り直しが効かない映像作品が木彫なら、舞台は粘土細工といったところでしょうか。
|ところで、今月のビズスタはギフトがテーマなのですが、贈り物をされる時に意識することはありますか。
贈る相手を祝うためには、日頃からその人をよく観察することが大切だと思います。日常生活の中でも、たとえば疲れている時には声をかけてあげた方がいいのか、そっとしておいた方がいいのか、その人によって違いますよね。そんな気遣いがギフトの原点なんだろうなと思います。
|本作にもつながるお話ですね。それでは、最後に読者へのメッセージを。
作中の超常的な事象はともかく、問題の本質はどんな夫婦にも起こり得ることだと思います。それを乗り越える二人の姿がファンタジックに描かれる作品ですので、ぜひご自身の感じるままに楽しんでいただきたいですね。
谷原章介 さん
1972年7月8日生まれ、神奈川県出身。A型。雑誌『メンズノンノ』の専属モデルから俳優に。俳優業ではモデル出身の端正なルックスを活かしながらも、二枚目・三枚目を問わない役柄を演じる。また、雰囲気のある上品な物腰で、テレビ情報番組の司会者としても人気を得ている。
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2024年10月25日 発行
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