2023年7月27日
女優デビュー後は映画やテレビドラマで大活躍の夏帆さん。この夏は、8月26日に幕を開ける舞台『いつぞやは』の準備に大忙しの日々を送る。
同作品は、岸田國士戯曲賞の受賞などで注目を集める気鋭の劇作家・演出家、加藤拓也さんの最新作。亡くなっても生前の履歴が残り続けるSNS時代への違和感から書き下ろされた興味深い物語が、緻密な会話劇として展開される。新世代の旗手が選んだ6名の実力派のひとりとして出演する夏帆さんは、この意欲作とどう向き合うのか。今月のテーマ「癒しのひととき」の話題とともに、開幕が近づく今の心境をうかがった。
|今回ご出演の『いつぞやは』は加藤拓也さんの最新作ですが、夏帆さんは以前に接点がおありだったとか。
5年ほど前になりますが、ショートムービーの撮影でご一緒させていただいたことがあるんです。 その撮影は1日だけだったので、今回はしっかり加藤さんの演出を受けられると思うと、今からとても楽しみです。
|加藤さんが演出家として頭角を現した頃ですね。当時の印象はいかがでしたか?
同世代の作り手で、こんなにも才能にあふれる方がいらっしゃるということに、とても刺激を受けたのを覚えています。周囲からも「加藤さんとは、ぜひ一緒にお仕事したほうがいいよ」とアドバイスを受けていたのですが、本当にその通りでした。
|今回の舞台は、俳優さんも歳が近い方が多いですよね。刺激を受けることも多いのでは。
実は、今回ご一緒させていただく5人は全員、役者としては初めて共演する方々なんですよ。いい刺激をたくさん受けたいですし、自分もちゃんと何かを手渡せるように頑張らなくてはと思っています。
|夏帆さんと言えば映画やTVドラマの印象が強いのですが、舞台作品はいかがですか。
自分にとっては「一大イベント」という感じですね。稽古は長期にわたりますし、上演期間を完走する持久力も必要ですので、映像作品以上に自分と向き合う時間が長いように感じます。
|性質の異なるお仕事をうまく両立させるのは大変だと思いますが、コツはありますか?
いろいろなお仕事を同時進行させることがあまり得意ではないので、詰め込み過ぎないよう心がけています。以前はただ勢いと気合いで乗り切るだけでしたが、最近は適度に息抜きの時間を作るのが視野を狭めないコツなんだな、と気付きました。
|癒しは大切ですよね。何か特別なリフレッシュ法は?
旅行ですね。先日もプライベートで台湾に出かけたのですが、ほかにも尾道や高松など国内をいろいろと旅しました。
|すごいですね!動くことが癒しなのですね。
旅先ではとてもアクティブになれるんですよ。行きたいお店を調べて、街や自然をたくさん歩いて、いろんな方々にお会いして、美味しい御飯を食べて、美しい風景を見て…。好奇心が満たされる感覚が好きなんです。
|それが新たな気付きや閃きにつながるわけですね。
そうですね。日常の中でも、たとえばほんの数時間でも友人に会うと、お仕事を別の角度から考えるきっかけにもなりますし。
|最後に読者へのメッセージをお願いします。
東京公演は、三軒茶屋のシアタートラムで上演されます。ちょっとした息遣いやニュアンスなど、お芝居が繊細に伝わる劇場ですので、会話劇である今作にぴったりな空間だと思います。また、加藤さんの作品は見終わった後の余韻が長く残って、持ち帰るものが多いといつも感じています。ぜひ「友だちの話を聞きに行く」ような気軽な気持ちで劇場に遊びに来ていただけたら嬉しいです。
夏帆さん
1991年6月30日、東京都出身。2007年公開された「天然コケッコー」で主演を務め、第31回日本アカデミー賞新人俳優賞、第32回報知映画賞の新人賞ほか多数の映画賞に輝く。近年の主な出演作には、映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』『Red』『MOTHER マザー』『さかなのこ』や、ドラマ『silent』『ブラッシュアップライフ』Netflixオリジナルドラマ『First Love 初恋』など話題作に多数出演。
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2024年10月25日 発行
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