今こそ"ジョン・レノン"のリアリティを聴きたい。

今こそ”ジョン・レノン”のリアリティを聴きたい。

2020年12月17日 PR

常に「自分」を表現したレノンのソロキャリア

例年、この季節になると耳にするジョン・レノンの名曲「ハッピー・クリスマス（戦争は終った）」。リリースは1971年なので、来年で半世紀が経過する計算になる。

1962年のレコードデビューから1970年の解散まで、ポピュラー音楽史のあらゆる記録を塗り替えたザ・ビートルズ。演奏スタイル、作詞作曲術、録音技術、思想や概念まで革新したにも関わらず、リーダーのレノンはバンド存続中の1968年にソロ活動を開始。前衛芸術家として名を馳せていたヨーコ・オノという理解者を得て、時を超えて残る名作の数々を精力的にリリースする。1975年、愛息ショーンの誕生を機に活動を停止したが、1980年にカムバック。その直後、狂信的なファンの凶弾に倒れる。

悲劇的な死から40年、いまなお新しいファン層を開拓し続ける不世出のソングライター。惹かれる理由は人それぞれだが、ひとつ例示を許されるなら、「リアリティ」を挙げてみたい。

ザ・ビートルズの成功から解き放たれたレノンは、手当たり次第に「自分」を表現し始める。オノとのコラボは前衛音楽から反戦運動へと発展し、やがて平和を希求する稀代の名曲「イマジン」へと結実。全世界のアーティストがこぞってカバーする世紀のスタンダード曲を生みながら、その名声に目もくれず、常に自分自身の「今」に忠実に創作を続けることになる。

「イマジン」の印象か、写真のような風貌からか。聖人然として語られることも多いが、楽曲を聴き込むと、むしろ人間味に溢れる人物であることがありありと分かるはずだ。少年期のトラウマや自分の弱さの吐露、慈愛の視点と捩れたユーモア、社会への怒りや仲間への信頼と不信、権力者や偽善者への憎悪、妻子へのピュアで赤裸々な愛情表現。一人の人間の心の動きを追うような臨場感と現実感を、あの魅惑の声で歌うのだから、人を惹きつけないわけがない。だからこそ、平和の尊さを説く前述の2曲も、聴こえのよい夢想ではなく、切実な想いとして胸に迫るのだ。

素晴らしい仕上がりの最新コンピアルバム

そのヒューマンな魅力は、今秋、誕生日に合わせてリリースされたコンピレーション『ギミ・サム・トゥルース．』で堪能できる。生誕80周年記念として企画された最新ベスト盤で、タイトルは1971年のアルバム『イマジン』の収録曲「真実が欲しい」の原題にちなむ。イマジンの曲想とはほぼ真逆で、時の政治家らを遠慮会釈なく指弾する内容は圧巻。その二面性もレノンらしいが、世界にフェイクニュースが溢れ返る現代を予見したようなリアリティも見逃せない。

没後の『ミルク・アンド・ハニー』まで、ソロキャリアの全体像を真俯瞰で眺めるような全36曲のコレクション。選曲はヨーコ・オノと実子ショーンのプロデュースチームで、マルチトラックの録音テープにまで遡る形で現代の再生環境に合わせたリストア＆リミックスが施された。その効果たるや絶大で、とりわけヴォーカルの分離感は素晴らしい仕上がりだ。「ジョンはこう歌っていたのか」とマニアも唸る鮮明なサウンドを全曲で満喫できる。

入門者には充実の選曲を、上級者には驚異の音質を。「ハッピー・クリスマス（戦争は終った）」も収録しているので、ぜひクリスマス〜年末年始のおうち時間でお試しを。

トップ写真：Photo by David Nutter 1969 © Yoko Ono

JOHN LENNON.

GIMME SOME TRUTH.
THE ULTIMATE MIX.

全5エディション発売中

＜ギミ・サム・トゥルース. ＞

[2CD+1Blu-ray] [輸入国内盤仕様] [完全生産盤] [SHM-CD]
9,350円（税込）
●CD2枚組に36曲収録 ●ブルーレイには5.1サラウンド、ドルビー・アトモスのHDオーディオ収録 ●36曲それぞれのストーリーと、レノン・オノ・アーカイヴからの何百枚もの未発表の写真、ポラロイド、映画のスチル・フレーム、手紙、歌詞、テープ箱、アートワーク、メモラビリアなどが掲載された124ページ豪華ブックレット付 ●バンパー・ステッカー、ポスター、ポストカード付＜日本盤のみ＞●SHM-CD仕様 ●英文ライナー翻訳付／歌詞対訳付