2018年8月30日
あのウィンブルドンでのグラフとの死闘、WTAランキングのシングルス4位など、スポーツファンの心に鮮烈な記憶を刻んだテニスプレーヤー、伊達公子氏。1996年に惜しまれつつ引退するが、2008年にツアープレーヤーとして現役復帰。あの雄姿が忘れられないテニスファンたちを狂喜乱舞させた。
昨夏の引退表明まで、プレーヤーとしての新たな生を駆け抜けた伊達氏。当時の心境と現在の関心事を中心に、今も続く彼女の「大人のチャレンジ」について話をうかがった。
| 今月、大井町に誕生したばかりの複合スポーツエンターテインメント施設「スポル」には4面のインドアハードコートがありますが、これは伊達さんが監修されたものだとか。
はい、そうなんです。私としては、特に「世界基準のハードコート」にこだわりました。ひと昔前のような体に負担がかかるような硬さはないですので、ぜひ体感してほしいですね。
| そのほか、スタジオプログラムなどにも関わっておられるそうですね。
ええ。私は、最初のキャリアとセカンドキャリアの間にピラティスのライセンスを取得したり、マラソンに挑戦したり、日常の中で身体を動かしていました。それでも、セカンドキャリアにおいては「アスリートとしてどう身体を造るべきか」という課題に直面しました。それぞれの世界の専門家のアドバイスを受けながら、まさに身をもって「スポーツの科学化」を体験してきましたので、その進化ぶりを皆さんにも気軽に味わっていただける場にしたいと考えています。
| さまざまなことにチャレンジしておられますね。セカンドキャリアも挑戦そのものでしたが、不安はありませんでしたか?
ありました。決心するまでには悩みもありましたが、実際に踏み出してみると、かつて慣れ親しんだ世界が何だかとても新鮮に見えて(笑)。テニス以外のことでも、時間の使い方や目標設定がしやすくなって、ポジティブになれることが増えたんですよ。
| 大人になると、新たな挑戦をためらうこともありますよね。なかなか踏み出せない方々にアドバイスをいただけますか?
テニスへの再チャレンジでは、現代のスピードテニス、パワーテニスに対して、すぐには順応はできませんでした。「そんなに動けないよ」なんて、自分で決めつけてしまったり。
でも、まずは「『できないこと』を楽しもうかな」とそのまま続けていたら、少しずつできるようになりました。「小さいことを積み重ねていけば、人は年齢に関係なく進化できるんだなあ」と、改めて気付かされる思いでした。
| 今後、さらに挑戦したいことはありますか?
まず、いま監修で関わっているスポルですね。引退してまだ1年ですので、柔軟性を大切にしながらフルに活動したいと思っています。今までも感じたままで生きてきましたし、感じたことに対して素直に動いていくと見えてくることがあると思うんです。
私自身の「心の声」を聞いて判断し、一度決めたことに対しては計画を与えて動く。これからも、そんな自分でありたいですね。
テニスプレーヤー
伊達 公子 さん
高校3年のインターハイで三冠を達成し、卒業後にプロに転向。
世界ランキング4位を記録。1996年に現役引退をするが、2008年に11年半のブランクを経てツアー復帰。数々の最年長記録などを樹立し、2017年9月2度目の引退。テニス番組出演、本の出版、スポーツ施設「スポル」に関わるなど精力的に活動中。
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2024年10月25日 発行
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