高橋一生が感じる、限界が喜びに変わる瞬間

2019年12月19日

ドラマや映画、舞台など、まさに大活躍中の高橋一生氏。来年2月には、4年ぶりに出演する舞台『天保十二年のシェイクスピア』での主演も決定。『ロミオとジュリエット』や『リチャード三世』をはじめとするシェイクスピアの戯曲全作を横糸に、江戸末期の人気講談『天保水滸伝』を縦糸として織り込んだ井上ひさし氏の名作戯曲に挑む意気込みやいかに。

｜『天保十二年のシェイクスピア』は、下地を超越しそうなほどのスペクタクル感が楽しい作品ですね。

本当にその通りです。カオスと言うか、「井上ひさし風味のシェイクスピアのごった煮」と言うか。名作だと思います。

｜2回ほど舞台化されていますが、オファーを受けてどう感じましたか？

正直に言うと、たじろぎました（笑）。いろんな方が演じておられますし、すでに完成された名作という意識でしたから。けれど、藤田俊太郎さんが演出を担当するということで、それなら挑戦してみたいな…と。僕は、「仕事は人柄」と考えていますので、あの名作を俊太郎さんがどう描くのかに興味が湧いたんです。

｜作品と同時に高橋さんをどう描くのかも楽しみですよね。高橋さんご自身の意気込みは？

あくまでも作品性を大切にしながら、世界観の中心に自分が立つと、どう色味が変わるのか。俊太郎さんと組むことで生まれる異なる個性を見てみたいです。過去に質の高い舞台化が実現されていますが、僕らならではの「違い」を起こせたらと思います。

｜作品のタイトルには「絢爛豪華祝祭音楽劇」とありますね。

そのフレーズ、いいですよね。お祭り的な舞台は経験がないので、僕自身も楽しみにしているんです。

僕が演じる主人公の佐渡の三世次は悪役風の印象ですが、僕は「嫌な奴だな」「悪い奴だな」といわれる役ほど庇いたくなる方で。なぜならば、いきなり苦境の中に立たされたら、僕も彼と似たような行動を取るかもしれませんから。

人の個性はそれくらい曖昧なものだと思うので、今回は「三世次の言動にどれだけ説得力を与えられるか」にも課題を置いているんです。

｜高橋さんご自身は、追い詰められたり、限界を感じたような経験は？

あります。特に舞台では、映像のように途中で止められませんので、自分の弱点や課題が分かりやすいんです。集中力を保つだけでも大変ですし、泣き言を言いたくなることもあります（笑）。

その分、没入感も半端ではありませんので、役者としての歓びが生々しく感じられます。今回も「生きていてよかったな」と思える瞬間が、たくさん生まれるはずです。

｜では、読者の皆さんにメッセージを。

僕は、常に「人の生」を想像したいと考えています。演じる役の人生を共有し、僕が想像する三世次の人間性まで感じていただけるよう演じたいと思いますので、ぜひご覧ください。

スタイリスト＝秋山貴紀　ヘアメイク＝田中真維（MARVEE）

衣装：カーディガン￥50,000 ／ファッチーズ（シック＝TEL.03-5464-9321）
カットソー￥9,000 ／ヴォートメイクニュークローズ（HEMT PR＝TEL.03-6721-0882）

俳優：高橋一生さん
1980年東京都出身。ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。2012年、舞台「4 four」の演技において、第67回文化庁芸術祭賞演劇部門芸術祭新人賞受賞。2018年、第31回日刊スポーツ映画大賞助演男優賞など受賞。近年の主な出演作品に、＜ドラマ＞大河「おんな城主直虎」連続テレビ小説「わろてんか」(ＮＨＫ)、「僕らは奇跡でできている」（関西テレビ,フジテレビ系）、「みかづき」（ＮＨＫ）、「東京独身男子」（テレビ朝日）、「凪のお暇」（ＴＢＳ）＜映画＞「空飛ぶタイヤ」、「億男」、「九月の恋と出会うまで」、「引っ越し大名！」＜舞台＞「マーキュリー・ファー」、「元禄港歌-千年の恋の森-」、「レディエント・バーミン」など。主演映画「ロマンスドール」（1月24日公開）ほか、スナフキンの声を務めたアニメ『ムーミン谷のなかまたち』（ＮＨＫＢＳ４Ｋ）のシーズン2が1月9日より放送予定。

絢爛豪華祝祭音楽劇　「天保十二年のシェイクスピア」

2020年2月8日（土）〜2月29日（土）日生劇場にて上演

ウィリアム・シェイクスピア全作を横糸に、江戸末期の人気講談「天保水滸伝」を縦糸として織り込んだ井上ひさしの傑作戯曲が15年ぶりに上演

今年ロンドンでの演出家デビューも果たした藤田俊太郎が演出を手がけ、キャストは、己の野望のためには手段を選ばず突き進む異形の流れ者＜佐渡の三世次＞に高橋一生、ふたつの家の争いに巻き込まれる若き跡取り息子＜きじるしの王次＞に浦井健治が扮するほか、演技派・個性派が集結！絢爛豪華な祝祭音楽劇の幕が開く！

【出演】高橋一生、浦井健治、唯月ふうか、辻萬長、樹里咲穂、土井ケイト、阿部裕、玉置孝匡、章平、木内健人、熊谷彩春、梅沢昌代、木場勝己、他
【作】井上ひさし
【音楽・音楽監督】宮川彬良
【演出】藤田俊太郎
【公式サイト】https://www.tohostage.com/tempo/
【チケット情報】イープラス：https://eplus.jp/tempo/