2018年10月25日
日本が誇るバレエ界の巨人、熊川哲也氏が芸術監督を務める「Kバレエカンパニー」は、今年で20周年を迎えた。そして僭越ながら、本紙「ビズスタ東京」も10周年。実は、本紙は熊川氏及び同バレエ団との縁が深く、初めて紙面で公演情報を取り上げたのが約8年前、昨年には同バレエ団の作品『クレオパトラ』の取材記を含む特別版を発行。また、昨年9月に熊川氏ご本人に表紙にご登場いただいた際には、配布エリア外に居住するファンの皆さんからも問い合わせが多数舞い込むほどの大反響となった。
そこで、20周年&10周年を祝う意味で、熊川氏に再びインタビューを敢行。この20年への想いとともに、次の20年への課題を聞いたところ、一人の経営者としての視点による深い答が返ってきた…。
| 「Kバレエカンパニー」の設立20周年、おめでとうございます。現在の率直な気持ちを教えてください。
組織内での化学反応は意識して起こせるものではありませんが、それでも少しだけ成長を意識しながら行動した結果として迎えた節目だと思います。自分自身、若い頃に比べて気持ちの面でも余裕が生まれたことを考えると、この20年という重みも「しっくり来る」数字かなとも感じています。
| ここまで、ご苦労もおありだったでしょうね。
バレエ団としては「熊川哲也」のネームバリューが有利に働いたことは事実ですね。でも、経営者として見ると、「熊川哲也」はライバルなんですよね。その意味で、この名前と格闘してきた20年とも言えます。
| ライバル、ですか。
ええ。と言っても、「昨日の自分に勝ちたい」というメンタルなものではありません。このバレエ団を「熊川哲也」という名前がなくても成立するように、ファンの皆様に支えていただけるように育てなければならないという切実な課題なんです。
| 立ち上げ当初からプロフェッショナル・バレエカンパニーを目指しておられましたよね。今の手応えは?
技術だけでなく、マインドまでプロフェッショナルでなければなりませんが、現在の私たちはメンタルとフィジカルの調和が取れていると自負しています。「バレエの神様には嘘をつかない」というポリシーは貫けているのではないかと感じています。
| 「Kバレエスクール」も設立されましたね。来月からの『ドン・キホーテ』では若手も起用されるとか。
『ドン・キホーテ』は、Kバレエカンパニーとして第5回朝日舞台芸術賞をいただきましたし、自分自身としてもロイヤル・バレエ団のトップに立つきっかけでもありましたので、強い思い入れがあります。身体能力とパッションがポイントとなるアスリート性の強いバレエですから、若手向きだと思いますよ。
| 入団希望者もさらに増えそうですね。
『白鳥の湖』で初めて舞台に立った女性ダンサーに聞いたのですが、彼女がダンスを志すきっかけになったのは、Kバレエカンパニーの『白鳥の湖』だったそうなんです。初めて観て以来、コツコツとおこづかいを貯めて公演に通ってくれたのだとか。それを聞いた時は、なんだかお父さんの気持ちになりました(笑)。
| その経緯をご存じなかったんですか(笑)。
彼女だけでなく、全員、純粋に実力だけで選んでいますので。入団した後に聞いた話です。
| では、次の20年に向けての目標を。
現代は、唯一無二の存在となるようなスターは出にくい時代かもしれません。だからこそ、バレエ団にとってはチャンスになるとも感じます。幸い、自分は権力に興味がありませんので、熊川哲也の名前を少しづつ消しながら、Kバレエカンパニーを大きく育てていきたいですね。
熊川哲也 Kバレエ カンパニー
20th Anniversary
『ドン・キホーテ』
芸術監督:熊川哲也
[指揮]井田勝大 [管弦楽]シアター オーケストラ トーキョー
日時:2018年11月16日(金)~18日(日)
会場:東京文化会館 大ホール
料金:S席 15,000円、A席 11,000円、B席 8,000円
C席 6,000円、D席 4,000円 (全席指定 ※価格はすべて税込)
お問合せ・ご予約:チケットスペース
TEL.03-3234-9999
http://www.ints.co.jp/k_ballet_2018autumn2/index.htm
1987年、英国ロイヤル・バレエ学校に入学。1989年、ローザンヌ・国際バレエ・コンクールで日本人初のゴールド・メダルを受賞。東洋人として初めて英国ロイヤル・バレエ団に入団、わずか4年でプリンシパルに昇格。1998年に同バレエ団を退団、翌年Kバレエ カンパニーを設立し芸術監督を務める。
熊川版としてグランド・バレエを精力的に発表し2017年には完全オリジナル作品『クレオパトラ』世界初演の成功をおさめる。
2013年、紫綬褒章受章。
Kバレエカンパニー
http://www.k-ballet.co.jp/
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2024年10月25日 発行
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