2024年8月29日
1993年に熱狂の渦の中で開幕し、昨年に30周年を迎えた日本プロサッカーリーグ「Jリーグ」。当初は10クラブだったクラブ数も現在は41都道府県で全60クラブにまで拡大し、2026-27シーズンからは世界トップリーグの多くが採用する8月に開幕し、5月末に閉幕するシーズンに移行することが決定するなど、今も変化を続けている。
今回はJリーグのチェアマンを務める野々村芳和さんにインタビュー。現在の取り組みや将来の構想、注目ポイントなどを伺った。
|1993年に華々しく開幕したJリーグは、現在ではすっかりプロスポーツを代表する存在として定着しました。現在の姿をどのようにお感じですか。
開幕当時は「サッカー少年たちの人生が変わるすごいものができた」と興奮を覚えました。現在では各クラブがそれぞれ地域に根付き、多くのファン・サポーターを生み出し続けています。今思えば「これがJリーグが描いていた姿なんだな」と噛みしめています。
|チェアマンに就任された時の想いは。
国内のサッカー文化の定着には大いに貢献したものの、世界と比較するとまだ差があることを実感しました。選手たちは世界を目指して取り組んでいますので、我々もグローバルな意識をより強く持つ必要があると思いました。
|現在のJリーグの魅力はどこにありますか。
凄い熱量のスタンドにいるだけで気分が高揚しますし、周囲のファン・サポーターと交流しながらスタジアムグルメを味わうひとときも最高です。サポーターとして思い切り肩入れするのも、ニュートラルな立場から選手のプレーを堪能するのも、どちらもスポーツ観戦の醍醐味ですよね。さらには、若い選手たちが欧州に挑戦する物語を追うのもよいでしょう。今のJリーグなら、世界のファン・サポーターが見ても魅力的に映るものと自負しています。
|新しいサッカーのファン・サポーターを生む舞台として大いに機能していますよね。
そうですね。サッカーの試合は、ピッチ上のクオリティとスタジアムのスペック、サポーターの熱量が揃うことで、ひとつの「作品」になると考えているんです。サッカーの知識をお持ちでない方も、スタンドで作品全体をご体感いただけば、きっと夢中になれるはず。そして、やがてはご自身も作品を担う一人として一体感の中に飛び込んでいただく、そんな循環を作り出していきたいですね。
|新たなシーズンへの移行も正式に決定しました。
先ほどお話ししたグローバルな視点から、海外と同じ環境を用意したいと考えたんです。近年、夏場の暑さは尋常ではないので選手たちの疲労が激しく、開幕時よりもパフォーマンスが下がります。海外の主なリーグは、逆に開幕から徐々にパフォーマンスが上がっていくんですよね。選手にとっては欧州クラブからの評価にもつながるので、世界に挑戦したいという高い競争意識を刺激することにもつながると思います。
|では、最後にビズスタ読者へのメッセージを。
先ほど公平な立場の観戦も楽しいと言いましたが、できれば好きなクラブを力いっぱい応援する歓びを味わっていただきたいですね。周囲のファン・サポーターと一緒に感情を爆発させれば「来てよかった!」と心から感じますので、ぜひスタジアムにお越しください。
Jリーグ チェアマン
野々村 芳和さん
1972年、静岡県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1995年、Jリーグのジェフユナイテッド市原(現・ジェフユナイテッド千葉)に選手として入団。コンサドーレ札幌(現・北海道コンサドーレ札幌)を経て2001年に引退。2006年に株式会社クラッキを設立、2013年に株式会社北海道フットボールクラブ(現・株式会社コンサドーレ)の代表取締役社長に就任、2022年3月より現職。(公財)日本サッカー協会副会長。
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2024年10月25日 発行
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