2017年5月25日
最近、夏が近づくたびに頭を悩ませるのが、毎日のファッション。コーディネートに悩むうちに、何を着ればいいのか分からなくなる…といった深刻な事態も。
そんな「男性の新しい悩み」を解決するには、プロに聞くのが近道。そこで今回は、日本を代表するセレクトショップ「ユナイテッドアローズ」の創業メンバー、栗野宏文氏にインタビュー。なかなか聞きにくい素朴な疑問をぶつけてみた。
| まず、「男性のお洒落」とは、どんなスタンスで考えればよいのでしょうか。
僕の場合は「自己表現」ですね。コミュニケーションツールだと思っています。自分が喋らなくても、選んだ洋服に己を語らせる…みたいな。自分が発信するメッセージをまとめるようなイメージでしょうか。
| ということは、「見られている」という意識もありますよね。
もちろんです。個人的には、「自分の職業を意識する」ことを心がけています。たとえば、洋服は精神を高揚させてくれる存在でもありますので、「気持が上がる」ものを選んでいますね。
できれば、洋服だけに頼らずに自分らしさを出したいですよね。その人らしさが存分に出るものであれば、それが一番カッコよいのだと思います。自分の例で言えば一目でブランドがわかるものは着ないようにしています。
| 表層的な部分に囚われないということですね。
ええ。「若さ」を考えるにしても、「若ぶった格好」は表層的ですが、「若々しさ」は中身が整って初めて滲み出すものだと信じます。
| なるほど。では、コーディネートの時に迷わずに済む方法はありますか?
まず、姿見で全身を見るとよいと思います。全身を見て「心地よい」と感じる組み合わせを選ぶことですね。また、もし誰かに「今日の服装はよいね」と褒められたら、理由を聞いてみると具体的に分かりますよ。
| 色の選び方についてはどうでしょうか?
やはり、いろんな色を着ることですよね。手当たり次第ではなく、たとえばネイビーブレザーはほとんどの人に似合うアイテムですから、そこからインナーに赤や黄色を試してみるとか。そうすると、自分に合う色が見つかります。
| 今年の夏のおすすめはありますか?
「キレイな色」ですね。特に今年はピンクが目立つのですが、これが日本人に割と似合う色なんです。ネイビーのジャケットにピンクのシャツを着ていても派手には感じませんしね。
| 最後に、「クールビズ」についてのアドバイスを。
ネクタイを外すだけではだらしなく見えるので注意したいですね。洋服のつくりにはそれぞれ理由があって、たとえばボタンダウンシャツの衿はポロというスポーツ競技のために作られたものですから「最初からネクタイをする必要がないシャツ」なんですね。逆にネクタイをするために作られたシャツもありますし、これらは構造的にも異なります。まずディテールをよく見ることを意識すると、選びやすくなりますよ。
栗 野 宏 文 さん
株式会社ユナイテッドアローズ 上級顧問、クリエイティブ ディレクション担当。バイヤー、ブランドディレクターとしてコレクション出張を含めて、年の1/3を海外で過ごす。アントワープ王立アカデミーでは卒業ショーの審査員も務めた経験を持ち、2004年には英王立芸術大学院「Royal College of Art」からHonorary Fellowship(名誉研究員)を授与されている。また、政治・経済や音楽・映画・アートから国内外情勢を投影した時代の潮流(ソーシャルストリーム)を捉えるマーケッターとして、あるいはそこからファッションを読むファッションジャーナリストとして、数々の連載寄稿・取材や講演を行う。
【栗野氏着用アイテム】
ジャケット=カルーゾ(120,000円)/パンツ=クローズド フォー ユナイテッドアローズ(28,000円)/シャツ=サルヴァトーレ ピッコロ(24,000円) ※価格は税別
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