2016年6月23日
1923年にマンハッタンで誕生したスペシャリティストア「バーニーズニューヨーク」。日本では1990年に新宿に1号店がオープンしたが、当時は、エントランスで迎えてくれるドアマンの姿からして「これまでのファッションストアとは違うな」と感じたものだ。センスを極めた内装と商品、高度な接客サービス、ストアイメージをさらに強化するウインドウディスプレイの完成度。その強烈な存在感は、ファストファッションが勢力を増す現代においてもまったく変わらない。
同店の強さの背景には、独特の文化があるという。日本における同社のクリエイエティブディレクターとしてデザイン展開を統括する谷口勝彦氏にミニインタビューを敢行した。
ー 幅広い分野を手がけておられるようですが、NY本部の方針なのですか?
そうですね。私は入社後、米国バーニーズのウィンドウドレッサーとして名声を集めていたサイモン・ドゥーナンのもとで修業しまして。彼はストアデザインやアドバタイジング、マーケティング、パブリシティ、そしてディスプレイと、すべてのビジュアル面をコントロールしていましたので、そのシステムに則っています。
ー ほぼ店舗イメージの全権を握るという印象ですが、日本でも同じなのですか?
はい。私もクリエイティブディレクターとして日本の店舗におけるデザイン展開の権限を与えられていますが、同時に店舗デザインの実務も行っていますよ。
ー バーニーズのデザインワークなら、やりがいがあるとともに責任も重大ですね。
だからこそ、自分のこだわりに歯止めをかけないことにしています。たとえば、ある新店オープンではデニム商品を展開するコーナーをつくるため、フロアに敷くラグをタイダイ染めにしようと考えました。そこで、京都の織物会社に出向いて、糸から選択させていただいて。私も自分の手で絞りましたよ。もちろん、何度も試行錯誤を繰り返して失敗もしましたが(笑)。
ー 敷物1枚でそこまでやるのですか…。
手間を惜しんでいては、メッセージがお客様に届きませんからね。そのために、フロアスタッフも含めて、全員が「プロ」として動いてもらっています。
ー 具体的にはどういうことでしょう?
まず、全員が自己判断能力を持つこと。そして、各自が「その分野では誰にも負けない」と確信を持てるまで自問を続けること。この2つにこだわり抜いてこそ「プロ集団」になれるのだと思います。
ー だからご自身も率先して動くのですね。
私もスタッフの一人ですからね。現場の空気を吸って、肌で感じ取るのは当然ですが、プロならそこで終わるわけにはいきません。それを突き詰めて、突き詰め抜いて、初めて得られるものがありますから。
ー こだわってこそ顧客に届く、と。
そうです。プロ自身が「唯一無二だ」と思えるものを提供すること、それがバーニーズの根本なのだと思っています。
プロフィール
バーニーズ ニューヨーク
クリエイティブディレクター
谷口 勝彦 さん
1959年生まれ。
1990年、「バーニーズ ニューヨーク」に入社後、米国のバーニーズでクリエイティブディレクターを務めていたサイモン・ドゥーナン氏に師事。帰国後、ビジュアルディスプレイのマネージャーを経て現職に。
現在は、日本のバーニーズ ニューヨークの広告ビジュアルやウィンドウディスプレイなどのストアイメージを統括。2010年に開店した神戸店、2011年開店の福岡店では、海外の建築家を起用せず、本人自らが店舗デザインすべてを手がけた。
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2024年10月25日 発行
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