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最先端のがん治療として全国から注目を集める“重粒子線がん治療”

最先端のがん治療として全国から注目を集める“重粒子線がん治療”

2024年6月27日 PR

【写真上】岩井岳夫センター長と宮城県・東北大学出身の精鋭スタッフたち。前立腺以外のがん治療を行う「回転ガントリー照射室」にて。超電導使用の回転ガントリーは世界に4台しかない最先端の装置だ。

『山形大学医学部東日本重粒子センター』が誇る“重粒子線がん治療”が確固たる成果を刻んでいる

北日本で唯一の施設 短期間の治療が可能

日本人の2人に1人が罹患するといわれているがん。そんながん治療で近年、注目を集めているのが『山形大学医学部東日本重粒子センター』だ。一般に、がんの治療法は、がんを取り除く手術、抗がん剤などを使用する化学療法、さまざまな放射線を照射する放射線治療が三本柱となっており、なかでも、各臓器の機能を残して治癒を狙える放射線治療は優れた治療法として知られている。世界に15施設しかなく北日本唯一の重粒子線治療施設である同センターでは、放射線治療の中でも、最先端といわれる重粒子線治療を実践。重粒子線治療は炭素イオンを光速の70%程度の超高速に加速して、身体の外から内部のがん細胞を狙い撃ち、がん細胞中のDNAの分子構造を破壊する治療法だ。X線を用いる通常の放射線治療と比べ、がんに大きなダメージを与えるだけでなく、X線が効きにくい抵抗性のがんにも効果が高いことが知られている。同センターが行う重粒子線治療は先端技術の高速3次元スキャンニングで、がんに対し重粒子線を精密に塗り潰すように照射。DNAを破壊されたがん細胞は分裂ができなくなり細胞死に至る。呼吸同期システムを備えており呼吸によって動く肺などの臓器への照射も可能だ。体型・年齢を問わず照射することができ、照射している間、痛みや熱さを感じることもない。1回の照射時間は数分から十数分。1日1回の照射を数回から十数回で治療していく。短期間の治療に向いており、通常のX線の数分の一程度の日数で治療が済むというメリットもある。

6月1日から新たに 3疾患が公的保険適用

同センターでは身体の真横(水平方向)から重粒子線を照射する前立腺がん専用の固定照射室を設置。身体への負担がないため、ほとんどの人が入院せずに通院で治療を受けられる。また、肝臓・すい臓など前立腺以外のがん治療を行う回転ガントリー照射室も完備。超電導技術を応用した回転ガントリーは世界最小のうえ、360度最適な角度から照射できるので、患者は仰向け又はうつ伏せの楽な姿勢のまま治療を受けられる。2022年10月の本格稼働以降、年間治療患者数は飛躍的に増加し2 0 2 3 年度には目標の600名を超える662名の患者を治療。2024年4月末時点の治療実績は合計1602名となっている。治療に当たるのは放射線腫瘍医、診療放射線技師など30〜40名のエキスパートで、宮城県や東北大学出身のスタッフたちも活躍している。難治がんとして知られるすい臓がん治療は外科と連携し、重粒子線でがんを小さくした後に手術を行うなど、根治が困難とされていた症例に新たな選択肢をもたらすケースもある。X線による放射線治療よりも生存率などの治療効果が優れていることが臨床試験により科学的に証明された部位は公的保険が適用され、これまでの頭頸部腫瘍、骨軟部腫瘍*及び前立腺がん、すい臓がん*、長径4cm以上の肝細胞がん*、肝内胆管がん*、大腸がん術後骨盤内再発*、子宮頸部腺がん*に加え、2024年6月1日から新たに肺がん(Ⅰ〜ⅡA期)*、子宮頚部扁平上皮がん(長径6cm以上)*、婦人科領域悪性黒色腫*の3疾患に公的保険が拡大された。(*手術による根治的な治療法が困難であるものに限る)(注/前立腺がんについては、X線に対して非劣性として保険適用されている。)

さらに広がる可能性 まずは主治医に相談

同センターでの重粒子線治療は完全紹介制なので万が一がんと診断された場合、まずは現在の主治医と相談。切除や一般的な放射線治療など、他にも様々な治療の選択肢を採れる前立腺がんなどで重粒子線治療を受けたい場合は、自ら主治医に申し出ることも肝要だ。同センターは総合病院である大学医学部附属病院と直結。総合病院の医療資源を十分に活用し重粒子線治療を提供しており、がんはもちろん、がん以外の病気の管理が必要な場合でも安心して治療を受けられる。腎臓がんや食道がん、局所進行肺がんなど保険適用外の部位は自由診療ではなく先進医療として治療が実施されるため、民間保険の先進医療特約を使える場合も多い。女性の罹患数の多い乳がんについては、臨床試験を実施準備中だ。将来的には不整脈など、がん以外の治療に用いられる可能性も期待されている。超電導回転ガントリーをはじめとする最先端技術を活用しながら、身体に優しい未来の治療を提供している同センターで自身の、そして大切なパートナーの明るい未来を描きたい。

 

  • 「山形大学医学部東日本重粒子センター」の建設計画は2004年に始動。翌年には国立大学初の独立した「医学部がんセンター」の認可・設 立に至っている。
  • 重粒子線治療でがんに照射する、炭素の原子核を光の70%ほどの速度にする大型の加速器(シンクロトロン)と副学長の 根本建二理事。
  • 治療待機室エリアはリラックスして過ごせるよう全て個室になっているほか、緊張感を抑える明るい配色が施されている。

【ビズスタおすすめ情報】東日本重粒子センター施設見学会 11月9日(土)12:00~16:00
開催参加料:無料(先着300名)申込み:同センターHPから、9月6日(金)受付開始予定

山形大学医学部東日本重粒子センター
TEL: 023-628-5404 TEL: 023-628-5404 https://www.id.yamagata-u.ac.jp/nhpb/

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