2018年4月10日
暮らし方から人生に求めるものまで、何もかもが変わっていく現代。
だからこそ、たまにはスマホの電源を切って、「自分自身のカタチ」を眺めてみたい。
この季節の日本列島は、言うまでもなくサクラ一色。デジタル時代、IT時代が進展して暮らしの風景はどんどん変貌を遂げていくが、花見の伝統は廃れるどころか盛り上がる一方のような気もする。それどころか、最近ではネットを通じて海外にまで広く知れ渡り、内外の投稿サイトも桜色に染まりそうな賑わいぶりだ。
花を愛でる行動は人間として当然すぎて「ここが発端」というものでもないのだろうが、風習としての花見の歴史は鎌倉・室町時代あたりにまで遡るようだ。最も有名なのは、イベント好きの豊臣秀吉の絶頂期に催された花見大会だろう。時は400年以上も前の文禄3年(1594年)、場所は今や世界遺産の一部となった吉野山。徳川家康や前田利家などの武将をはじめ、茶人や公家などを含む5000人もの参加を得て開催されたという、伝説の花見。我らが伊達政宗公とその一行は山伏のコスプレ(?)で参戦し、太閤殿下が破顔一笑したという説もあるようだ。
ソメイヨシノに八重桜、枝垂桜に山桜。私たち日本人がサクラを好むのは、「散り方」にも美学を求めたとされる武士たちの死生観に紐づいているのだろう。ライフスタイルどころの話ではなく、何から何までほとんど別世界のように変わってしまった現代だが、「心」だけは失っていない…のだとしたら、少し嬉しい気分にならないか。
知らず知らずのうちに自分の中で形成されているものは、意外に少なくない。日本の心を最もはっきりと意識するこの季節、たまには足を止めてサクラを、そして自分をゆっくりと眺めてみたいものだ。
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2024年09月27日 発行
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