2018年1月26日
気軽に旅する街角の奥に秘められた、悠久の歴史。
来年の改元を前にもう一度歩き直してみたい日本の街、日本の文化。
来年の5月1日、日本の歴史に251番目の元号が刻まれることになった。改元は国民的な関心も高く、ゴールデンウィーク期間にあたることから、各メディアでも話題沸騰といった趣。ミドルエイジ以上の方なら、30年前の平成元年1月7日に見た光景を思い起こすことだろう。後に首相に就任する当時の官房長官、故小渕恵三氏が掲げた「あの色紙」には、どんな文字が刻まれることになるのだろうか。
初の元号「大化」が制定されたとされる飛鳥時代から、1370年余。その間には、多数の元号が歴史を彩ってきた。たとえば、仙台市民にも人気が高い山形県尾花沢市の「銀山温泉」は、西暦1624年〜1645年の「寛永」年間の開湯とされる。「寛永通宝」で有名な江戸時代初期の元号だが、次の「正保」から「平成」までを経て、今回で何と38回目の改元を経験する計算になる。気軽に歩ける旅行先の空気にさりげなく漂う、深い深い歴史の薫り。これも、日本の魅力のひとつだ。
16世紀に銀鉱が発見され、江戸時代には公儀山として栄えたという銀山。ネット時代に入り、歴史感豊かなあの風景は海外にも知れ渡っているが、これらの建物は「大正」末期から「昭和」初期に建てられたものが中心だ。洋風木造多層の旅館が銀山川の両岸に沿って軒を並べる様子には時のロマンを感じずにはいられないが、その多くは、建築された当時としては「非常にモダン」なもの。三層四層の木造バルコニー建築あり、外装に鏝絵が施されている宿もあり。川には橋が多くかかり、夜間は石畳の歩道をガス灯が照らす。中でも銀世界が楽しめる今の時期は、本当にタイムスリップしたかのような景観が味える。
日本史の街と言えば京都が真っ先に頭に浮かぶが、身近にもこれほどの歴史スポットがある。というわけで、想いを馳せるに最適なこの季節、元号表を片手に歴史散策の旅へと洒落込んでみては。改元時の話題のひとつの「十連休」を満喫するであろう旅行者たちでごった返す前に。
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2024年09月27日 発行
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