2022年11月24日
『大人計画』の主宰者にして作家、演出家、映画監督、コラムニスト、さらには俳優活動まで。キャリアを通じてマルチな才能を発揮し続ける松尾スズキさんが、先ごろ、2年ぶりとなる新作を発表した。11月23日、自ら芸術監督を務めるシアターコクーンで上演が始まる『ツダマンの世界』は、業にまみれた昭和の文豪たちの愛憎を描く悲喜劇。初顔合わせとなる役者を多く配し、初めて劇中の全楽曲を自ら手がけるという意欲作、その舞台裏はいかに。まもなく60歳を迎えるということで、今月のテーマである「老後の備え」 とともにうかがった。
―今回の作品は、井伏鱒二と太宰治の師弟関係をベースに書かれたとか。
以前、二人に関するドキュメンタリーを観ましてね。 井伏鱒二は太宰治をあれだけ世話したのに、遺書に「井伏さんは悪人です」と書かれてしまうなど込み入った內容で(笑)。翻って師匠に対する自分の態度を省みつつ、自分の下には宮藤官九郎らがいると思うと「連綿と続いていくんだなあ」と感慨深くなりまして。そこで、師弟関係の綾を書いてみようと思ったんです。
―あの時代の文豪と言えば、型破りな人物が多いですよね。二人の関係も今の感覚では奇妙に感じます。
しかも彼らの時代は戦争があったのに、なぜか二人とも あまり書いていないんですよね。激動の時代を生きたにも関わらず、彼らの作品世界は小さくまとまっていて、私的な宇宙の中で輝いている。その落差にも刺激を受けました。
―今回のキャストは、松尾さんと初めて組む方も多いですよね。
主人公役に阿部サダヲを起用するのは決めていたのですが、昭和の香りがする二枚目俳優は大人計画には見当たらず(笑)、最終的に間宮祥太朗君にお願いしました。 昔、ある芸人さんが「笑いのセンスがある」と仰っていたので、賭けてみようかと。吉田羊さんは、以前コント番組に出演していただいた時によい感触を得ていたので、すんなり決まりました。
―劇中に登場するオリジ ナル楽曲は、すべて松尾さんご自身の作曲とか。全曲を書き下ろすというのは初めてですよね?
これまでの公演でも作詞作曲は経験はありますが、全編を手がけるのは初めてですね。物語は大正から昭和にかけての時代ですので、 ありきたりに聴こえないように、逆に時代性を薄めるイメージで作りました。
―この12月で60歳を迎えるということですが、今後の人生のために備えておきたいことはありますか。
最近は俳優活動を少し休んでいる状態なのですが、そろそろ立ち止まって考える時期ということで、まず「何に備えるべきなのか」について向き合うところから始めたいですね。仕事の面では、後進を育てることもテーマ のひとつとして考えています。亡くなった先輩方には何もお返しできず悔やんだ りもしましたので、やはり演劇の世界で何かできないかなと思案しています。
―では、今回の見どころについて教えてください。
これまでは虚構性の高い芝居を手がけてきましたが、 今回の作品では超自然的な要素は扱っていません。当 時の世相などを調査をした上で書いた作品ですので、 新鮮な顔ぶれの俳優さんとの化学反応にもぜひご期待いただきたいですね。
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2024年11月29日 発行
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