2017年3月31日 PR
山々に囲まれた美しい地で、昔ながらの町並みを守り続けている飛騨高山。2016年12月、寒さが深まり雪が舞いはじめた高山市に嬉しい知らせが飛び込んできた。毎年、春と秋に開催される高山祭の屋台行事がユネスコ無形文化遺産に登録されたのだ。高山祭はかねてから日本三大美祭のひとつと言われており、高山における伝統文化の象徴である。
高山祭の見どころは、この地の匠の技を結集してつくりあげられた精彩かつ豪華絢爛な祭屋台だ。高山祭は、春には12台の屋台が、秋には11台のそれぞれ異なる屋台が行列をつくり、祭囃子と賑わう人々で風情ある町並みを華やかに染めていく。春の高山祭は旧城下町の南に位置する日枝神社の例祭であり、秋の高山祭は北に位置する櫻山八幡宮の例祭である。本来、春と秋の屋台が揃って姿を見せることはないが、今年はユネスコ無形文化遺産登録を記念して、4月29日・30日に総曳き揃えのイベントが開催されるという。
祭屋台は、彫刻、彫金、塗り、織物など伝統的な工芸技術が一体となった貴重な文化財だが、飛騨の匠の技の原点となるのはやはり木工技術である。今から遡ること1,300年前、飛騨の国は税のかわりとして、優れた木工技術者を都へ送り出していた。この飛騨工(ひだのたくみ)制度は、豊かな自然に恵まれ、木を生かす技術に長けた飛騨ならではの全国唯一の制度。飛騨からは毎年1,000人前後の選ばれた木工技術者たちが都へ赴き、宮殿や寺院の建造に従事したという。この制度は、奈良時代から鎌倉時代までおよそ600年都築、都で得た建築技術によって飛騨の匠の技はより一層磨かれていったそうだ。
飛騨高山にはかつての匠たちによって建てられたであろう、寺院や神社が多く残されている。なかでも特筆すべきは、国府盆地にある安国寺経蔵と荒城神社本殿である。高山市は、飛騨工制度の時代から脈々と受け継がれてきた伝統と文化が日本遺産として認定されており、この2つの社寺はそれを代表する建造物である。高山祭が行われる城下町からやや距離があるものの、安国寺経蔵は国宝に、荒城神社は国の指定重要文化財に認定されており、足を運ぶだけの価値がある。
江戸時代には飛騨国の中心地として栄えた飛騨高山。しかし、深い山のなかにあり、冬になると雪で覆われてしまう飛騨高山はどちらかといえば開かれた町というより、伝統を受け継ぎながら静かに日々の暮らしを営んできた町である。交通網の発達により多くの人々が訪れるようになったが、観光地としての歴史はまだまだ浅いといえるだろう。そのためか、飛騨高山にはまだまだ知られていない魅力がたくさん隠されている。
いま、少しずつ訪れる人が増えているのが東山遊歩道である。東山遊歩道は、高山市内の寺院・神社、旧城下町、高山城跡の城山公園などをぐるりとまわる全長約5.5キロメートルの散歩道である。散歩コースとしてはやや長めだが、旧城下町の東側を流れる江名子川を越えた山裾には数々の社寺があり、歴史的文化財を中心に巡るのが人気。いくつも社寺を巡るにつれて、1,300年前の匠たちの伊吹が伝わってくるはずだ。
時代を越えて大切に受け継がれてきた高山の伝統と文化。時代というフィルムを逆回転させるように、古の飛騨高山に想いをはせていく――。そんなロマンチックな旅にでかけてみてはいかがだろうか。
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TEL.0577-36-1011
http://www.hidatakayama.or.jp
長い歴史と、自然に囲まれた飛騨高山。
「人々」「自然」「文化」が共生する様は、現在の日本や世界に大きなヒントを与えてくれます。飛騨高山で生活する人々=飛騨人(HIDABITO)を起点に過去、現在、未来を紹介するライフポータルサイト「HIDABITO.jp」をご覧ください。
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2024年01月04日 発行
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