2018年4月10日
いつの時代も超難関といわれてきた医学部受験だが、ここ最近はその難易度がさらに上がっているそうだ。国公立においても、私立においても医学部の偏差値は上昇を続けており、医学部合格への道のりは確実に険しくなっている。その要因はいくつかあるのだが、一つは先行きの不安な時代だからこそ「手に職を」と医師を目指す受験生が増えてきているからだ。たとえば、これまでは東大の理Ⅰや理Ⅱに進んでいたような層が最近は医学部に流れてきているのである。そして、もう一つの要因は親の世代に関係する。実は1970年代は医科大学が相次いで新設された時期。それに伴い、1970年代後半~1980年代にかけては医師国家試験の合格者数が倍増し、医師の数が急増したのである。そして今、ちょうどその増加した医師世代の子どもたちが医師になるべく医学部に殺到しているのだ。
医学部受験はまさに熾烈な戦いだ。しかし、このような厳しい状況下で驚くほど多くの受験生を医学部合格へと導いている予備校がある。それは名古屋の大名古屋ビルヂングを始め、全国25ヶ所に校舎を構える医学部専門予備校メディカルラボである。メディカルラボは2006年に第1号校舎として名古屋校を開校して以来、年々医学部の合格者数を増やしており、2017年度には802名の合格者を輩出。また、2018年度においても推薦入試で既に150名の合格者を出しており、この実績は数ある医学部専門予備校のなかでも間違いなく№1である。
医学部受験が過熱するこの厳しい時代において、何故ここまで多くの合格者を輩出することができるのか。他の医学部専門予備校とはいったい何が違うのか――。今回はメディカルラボの合格メソッドを紐解くために、こだわりの指導方針や授業システム、サポート体制について、本部教務統括を務める可児良友先生に話を聞いてみた。
これまで数多くの医学部志望者を合格に導いてきた、医学部受験のカリスマ。大手予備校で受験生の指導に携わった経験をもとに、医系学部受験の指導メソッドを構築。2006年に、「医系専門予備校メディカルラボ」の開校責任者となる。現在は医学部受験をテーマにした講演や著書の出版、TV等のメディア出演で注目を集めている。
――一般的な予備校とメディカルラボには、指導方法にどのような違いがあるのでしょうか。
まず、一般的な予備校と違うのは全ての授業をマンツーマンで行っているということです。集団授業の場合、自分専用の授業ではありませんから、十分に理解ができているところでも授業をしっかり時間をかけて聴かなくてはいけませんし、逆にわからないからといってその部分だけを丁寧に教えてもらうこともできません。でも、マンツーマンの授業はその子にとって本当に必要なことに時間をかけて教えることができます。私も、もともとは集団授業の予備校で10年以上教えていましたから、この違いが如何に大きいかはよくわかりますね。
また、授業システムにもこだわりがあり、講義50分+演習50分+講義50分の150分で授業を行っています。重要なのは真ん中の演習の時間。講義を受けてわかったつもりになっても、いざ自分でやってみると解けないというのはよくあること。ですから講義後に自分で演習問題を解いてもらい理解度をしっかりはかる。そして、できる問題とできない問題を仕分けした上で、完全に理解できるよう最後の50分で解説を行います。
――生徒によってカリキュラムの内容はまったく違うのでしょうか。
メディカルラボでは入校するときにスタート時点での学力をはかるため、テストを受けてもらいます。このテストはどの単元がどのレベルまでできるかを確認するためのもので、例えば数学であれば数Ⅰから数Ⅲまでの全ての単元について基本・標準・応用のどこまでできているかを細かくチェックします。一般的な予備校の場合、学力レベルでクラスは分かれますが、同じクラスでも単元ごとに見ると得意分野や不得意分野はそれぞれ違うものです。どこに穴があるのかをチェックしたうえで、個別にカリキュラムを作成しています。
――合格するためには戦略的な受験校選びが重要だとお聞きしました。
医学部は全国に82大学ありますが、大学によって問題の難易度や量、傾向はまったく違います。たとえば、スピードのある受験生であれば、問題量の多い大学が有利。また、難易度の高い問題が解けるようになっている受験生なら標準レベルの出題ばかりの大学より難易度の高い出題が多い大学にチャレンジすることで差をつけられます。出題形式も多様です。英作文についても、自由英作文、和文英訳、整序作文などがありそれぞれ得意、不得意は生徒ごとに違います。ですから大学の偏差値レベルだけでなく、入試問題との相性まで考えて受験校を選ぶことが重要です。メディカルラボはマンツーマンで教えていますから、個々の特性を把握したうえで受験校選びのマッチング指導を行っています。また、受験校に合わせて的を絞った指導ができるのもマンツーマンならではの強みですね。
可児:そもそも二人はどうして医学部を目指そうと思ったの?
横井:父が医師だったので、子どもの頃から何となく将来は医師になりたいなと思っていました。でも、本格的に目指そうと決めたのは高校3年生になってから。当時はそんなに勉強もしていなくて、どこの大学を受けようか、とりあえず医学部を目指してみるか、そんな感じでしたね。
舟橋:僕も親が医師だったので、その影響はありますね。さらに医学は日々発展していて、研究にしても臨床にしても終わりがないので生涯をかけてできる仕事だなと思っていました。
可児:二人とも浪人してメディカルラボに入校したわけだけど、どうしてここに入ろうと思ったの?
横井:現役のときは私立の医学部をダメもとで受けて、やっぱりダメだったんです。でも想像していたより手応えがあって、浪人するなら国公立を目指してみようと。もう一度、基礎からしっかり勉強したくて、それなら一対一で教えてもらえるところが良いと思いメディカルラボに決めました。
舟橋:高校生のときは自分でできると思い映像授業で勉強していたんですが、結局身につかなくて。メディカルラボは兄が通っていて「ごまかしがきかないくらいキッチリ学べるところ」と聞かされていたので、ここが最後の砦だという感覚で入校しました。
可児:二人とも見事に医学部合格したけど、メディカルラボで勉強していくなかで実力が身についていく実感はあったのかな。
横井:何回か模試を受けるうちに、本当に国公立に行けるかもと思うようになりましたね。自分のペースに合わせて重点的にやりたいところを教えてもらえて、基礎固めをできたことが大きかったと思います。現役時代に集団授業の予備校に通っていたことがあるんですが、その時はできるできないに関わらず授業が進んでいくので、ちょっとついていけないところもあったんです。実際に現役の頃とくらべると、偏差値は12~13上がりました。
舟橋:僕も現役の頃は50前半、下手すると40台だったのが70前半~後半くらいにまで伸びました。
可児:いま振り返ってみて、これがあったから合格できたと思うことはある?
舟橋:しつこいくらいに先生にダメ出しされたことですね。何度も確認しているはずなのに、計算ミスが半年以上続いて先生からはずっと厳しいことを言われていました。でも、何度も言われたから、逃げないで自分の問題に取り組めるようになったと思います。
横井:僕はメッセージカードかな。成績は上がっていたので、ちゃんとやれば受かるのはわかっていながらも、受験直前はどこも受からないんじゃないかという不安が押し寄せてきて辛かった。センター試験前の壮行会で先生から渡されたメッセージカードに勇気づけられて、安心して受験することができました。
現在、メディカルラボは全国に25校舎あるが、そのなかで名古屋校は本部校として位置付けられている。他の校舎と比べると歴史があり、先生の数も圧倒的に多く、約180人の先生が在籍しているそうだ。名古屋校が開校した当時と比べると校舎の数が増え、生徒数ももちろん増えたが、ここ最近は落ち着きをみせているそうで、合格者数の増加は単純に生徒数の増加によるものではない。ここ数年で合格者数が急増しているのはマンツーマン指導メソッドが定着したこと、そして大学別過去問題指導要綱の作成を始めた影響が大きいという。この過去問題指導要綱は、全国の医学部受験の情報を集約して作成されるメディカルラボ独自の合格対策である。各大学の出題傾向を分析し、何問目から解答したら良いか、何問目の対策にはどの問題集をどのレベルまでやる必要があるかなど、驚くほど細かいところまで対策を練り上げているそうだ。以前からこのような対策や指導は行っていたが、2年前に情報をしっかりとデータ化し共有を始めたことで、他エリアの大学にも受かりやすくなったという。
このような情報の集約・共有は、学科試験だけでなく面接対策にも生かされている。近年の医学部受験は面接試験が非常に重要視されており、高い配点比率を設定する大学が増えている。たとえば大分大学の場合、英語100点、数学100点に対し、面接は200点の割合で設定されている。また、配点はないものの、医師や研究者に適さないと判断された場合は学科試験の点数に関わらず不合格にすることがあると募集要項に明記している大学もある。実際、面接によって不合格になるケースもあり、医学部合格には面接対策が不可欠なのである。学科試験と同様に面接試験も大学によってかなり形式や傾向が異なるそうだ。集団討論を実施する大学もあれば、医師と患者という設定でロールプレイングを行う大学もある。メディカルラボでは受験生からどのような面接が行われたかレポートを集めて独自に面接試験の過去問題集を作成しているそうだ。そして、作成されたデータや過去問題集をもとに個別の対策を講じていくという。生徒によって性格や歩んできた人生が異なるため、面接も一人ひとりに寄り添って指導していくことが大切なのだ。このように徹底した個別サポートを受けられるからこそ、受験生は万全の態勢で医学部受験に臨むことができるのだろう。メディカルラボはこの指導メソッドで、今後も多くの医学部合格者を輩出していくに違いない。
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