2022年3月24日 PR
※撮影/引地 信彦
人間の価値観や限られた社会での常識、世間体など、さまざまな不条理を問いかける蓬莱竜太作・演出の異色西部劇「広島ジャンゴ2022」。舞台は広島の牡蠣工場から、突如西部の町「ヒロシマ」へ。奇想天外な設定でのダブル主演に挑んだ天海祐希さん、鈴木亮平さんにお話を伺った。
天海:私は牡蠣工場で働くシングルマザーの山本で、西部劇の世界に転じると凄腕ガンマンのジャンゴ。どちらも寡黙な女性です。牡蠣工場と西部劇って一見全くつながらない世界ですが、全体を通して一人の人間が表現できる、すごく面白い仕掛けになっています。
鈴木:僕は広島の牡蠣工場のシフト係・木村。山本さんがなかなか皆の輪に入らず残業もしてくれず、板挟みで悩んでいます。そしてある日目覚めると、西部劇の世界でジャンゴの馬・ディカプリオになっている。周りに翻弄されながら、この舞台を観に来ていただいたお客様と同じ目線でいろいろなことを目撃していきます。
天海:蓬莱さんが描く人間は、強いだけでなく必ず裏がある。私が演じる山本も一見強い女性ですが、実は葛藤があって、強くならざるをえなかった理由がある。それぞれがどんな風に時代や環境と折り合いをつけていくのか、興味深くご覧いただけると思います。
鈴木:西部劇というフィルターを通すからこそ、より現代の問題が浮き上がってきますよね。男性優位社会、コミュニケーションの希薄さ、DV、労働環境、同調圧力。翻弄される中で木村は、山本さんが背負うものや社会が抱える問題に気づいていきます。
天海:その人を理解しつつ、自分をわかってもらえるよう「話す」。先入観で判断せず、その人の言動をきちんと見ると、案外いい人だったり、共通の話題が見つかったり。それでも合わない場合は自分の中でシャットアウトして、表面上はきちんと接します(笑)。
鈴木:僕も相手を理解する努力は必要だと思います。そうすると好きな部分や尊敬できる部分が見つかることも。相手が自分を好きだったらその人を嫌うことは難しい。だから「好きだな」と思う部分を伝えて、自分の弱さも見せる。それでも無理なら環境や職場を変えるのも悪くないと思います。
天海:蓬莱さんの脚本にとても力があるので、ここにすべてが詰まっていると思います。そこから何をお客様が受け取ってくださるのか楽しみです。コロナ禍で、生で会えること、皆で同じ物を見て感動を分け合えることの貴重さをひしひしと感じてきました。その中で作品を上演できる幸せを感じながら、毎回全力で演じたい。その熱量を感じていただけたらうれしいです。
鈴木:この舞台で木村はいろいろな問題に直面し、少しでもよくしたいと一歩踏み出します。それを観た方々が、自分自身も何か一歩踏み出してみようと思っていただけることがあるのではないかと思います。また舞台は毎回、心の流れやリズム、相手とのやり取りで新鮮なセッションが生まれるのも魅力。その「一回きり」の舞台を楽しんでいただけたらと思います。
2022年 5月6日(金)〜16日(月)全13回
森ノ宮ピロティホール
¥12,000(税込・全席指定 未就学児入場不可) チケット発売日:2022年4月3日(日)10:00~
作・演出:蓬莱竜太
出演:天海祐希 鈴木亮平
野村周平 中村ゆり 土居志央梨 芋生 悠 北 香那/宮下今日子
池津祥子 藤井 隆/仲村トオル 他
ミュージシャン:熊谷太輔(Dr)
河村博司(Gt)
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2024年09月27日 発行
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