2024年5月30日 PR
ヘアメイク:猪股真衣子/スタイリスト:宮澤敬子(WHITNEY)/KEIKO MIYAZAWA(WHITNEY)
幼い娘の失踪をきっかけに出口のない迷路を彷徨うこととなり、事件を巡るマスコミと世間の声に翻弄される母親とその家族を描いた映画「ミッシング」。好奇の目に晒され、心を失っていく母親という難役を演じるのは、𠮷田恵輔監督の作品に惚れ込み、出演を熱望していた石原さとみさんだ。そのいきさつや、作品への思いを伺った。
―𠮷田監督とのお仕事を熱望されていたのはなぜですか?
𠮷田監督作品がすごく好きだったんですが、私はこの世界に存在していない、この人は絶対に私と仕事をしないだろうと思ったんです。だけど今までのお仕事と真逆だからこそ挑戦したいし、私を変えてくれるかもしれないと思って、手探りでいろんな伝手を頼って直談判しに行きました。
―なぜ自分を変えたいと思われたのでしょう?
私自身、自分に飽きてきてしまっていて、世の中もきっと飽きてしまっているだろうと。「もっと幅があるもの、真逆のものをしないと」とずっと危機感を持っていました。それと「アンナチュラル」というドラマに出演した時、脚本家の野木亜紀子さんが私のために1年かけて脚本を書いたとおっしゃってくださったんです。それ程の思いで書いてくださる方は今後現れないのでは、自分で動かないと形にならないのでは、という思いで行動に移しました。
―実際に出演されたご感想はいかがですか?
脚本を初めてもらった時はわからなかったんですが、出産後は怖いくらい主人公の苦しさが想像できたので、いいタイミングで出演できたと思いました。こうして夢が叶ったので、7年前に行動して本当によかったと思います。いっぱい学べたし、吸収できたし、この作品は宝物です。この経験や感覚をどうすれば忘れないようにできるだろうと少し焦っています。
―苦労されたり、印象に残っているシーンは?
全てのシーンが手探りで、表現の仕方がわからなくて。監督に「さっきの方がよかった」と言われて「さっき何をやったんだろう?」と。「わかった、こういうことか」と思ったものほどNGで、探ってもがいて「どうしよう」と思ったらOKで。器用にやろうと思うほどNGで、がむしゃらに、無意識にやるほどおもしろいと言われ、すごく不思議でした。「役に生きる」とはこういうことかと思いましたね。
―この映画で伝えたいメッセージは?
人に対して少しでもやさしい世の中になればと思います。SNSなどの発言は、不特定多数に対して、匿名だから、無責任だから言える。その相手が好きな人だったら、家族や友達だったら、同じ発言をしますか?ということを考えてもらえたら、世の中が少し変わるのかなと思います。
女優 石原さとみ さん
1986年生まれ、東京都出身。『わたしのグランパ』(03)でデビューし、第27回日本アカデミー賞ほか6つの映画祭・映画賞にて新人賞を受賞。NHK連続テレビ小説「てるてる家族」(03)のヒロイン役に抜擢され第41回ゴールデン・アロー賞放送新人賞、最優秀新人賞を受賞。
『北の零年』(06)、『シン・ゴジラ』(16)、『そして、バトンは渡された』(21)では日本アカデミー賞優秀助演女優賞に輝いている。近年の出演作には映画「決算!忠臣蔵」(19年)や、ドラマ「アンナチュラル」(18年)、「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(20年)、「恋はDeepに」(21年)などがある。ドラマ「Destiny」放送中、映画「ラストマイル」2024年8月23日公開予定。
ミッシング 全国公開中
出演:石原さとみ、中村倫也、青木崇高、森優作、小野花梨、細川岳、柳憂怜、美保純、ほか
監督・脚本:𠮷田恵輔 音楽:世武裕子 製作幹事:WOWOW 企画:スターサンズ
制作プロダクション:SS工房 配給:ワーナー・ブラザース映画
©︎2024「missing」Film Partners
STORY
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま3ヶ月が過ぎていた。娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。
そんな中、娘の失踪時に沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。
一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。その先にある、光に—
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2024年11月29日 発行
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