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SPECIL NUMBER : ISSUE ZERO CARBON CITY FUKUOKA

SPECIL NUMBER : ISSUE ZERO CARBON CITY FUKUOKA

2022年10月27日 PR

2025年度より 省エネ基準への適合義務化

世界的にSDGsへの取り組みが広がっており、国が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を実現するため、2025年度以降は住宅を含む小規模建築物も省エネ基準の適合義務となった。
福岡市でも「住宅の省エネ化」を積極的に推奨しており、「省エネ住宅」に対する注目度は高まっている。

※2022年10月時点の情報です。変更になる可能性があるため、詳細は各サイトにてご確認ください。

今年6月、参院本会議において国土交通省「建築物省エネ法」の改正案が可決され、同改正法が成立。これにより2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、省エネ対策はますます加速していく。大きなニュースとして取り上げられているのは、2025年度以降は小規模建築物も省エネ基準の適合義務となること。現行法では延床面積300㎡以上の中規模以上の建築物(非住宅)が対象だが、2025年度以降は延床面積300㎡未満の小規模建築物も住宅・非住宅を問わず対象となる。そのため新築・増改築の際は、省エネ基準に適合する義務が生じることとなった。

さらに、2030年度には「新築される住宅・建築物についてはZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保されているとともに、新築戸建宅の6割において太陽光発電設備が導入されていること」、2050年には「ストック平均でZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保されていることと、陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入が一般的となっていること」を住宅・建築物の姿として目指している。

2025年度の省エネ基準適合義務化のみならず、将来的にはより高い省エネ性能が求められそうだ。せっかく手に入れたマイホームの価値を大きく損なわないためにも、住宅メーカーごとの省エネ性能を考慮したうえで新築や増改築を検討してほしい

「ZEH(Net Zero Energy House)」「ZEB(Net Zero Energy Building)」とは、建築物における一次エネルギー消費量を、省エネ性能の向上や太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用することで削減し、年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロにすることを目指したもの。

 

環境省が掲げるカーボンニュートラルの呼びかけに応え、
福岡市は2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、脱炭素社会の実現にチャレンジすることを表明。
いち早いカーボンニュートラルを目指して脱炭素社会の旗手へ

2020年10月に日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」で
は、2050年までに脱炭素社会を実現し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としている。福岡市においても、これまでの「低炭素のまちづくり」から、最終的な到達目標である脱炭素へと取り組みを進め、温暖化対策を総合的・計画的に推進するための「福岡市地球温暖化対策実行計画」を8月に改定したという。カーボンニュートラルを実装した都市を目指すため、福岡市としての取り組みを環境局脱炭素社会推進部脱炭素社会推進課長に伺った。

 

家庭・業務・自動車部門の温室効果ガス排出量削減が肝要
まずは2020年度のデータを基に、福岡市の現況を知ることから始めよう。福岡市域の温室効果ガス総排出量の9割を二酸化炭素が占め、排出量は610万トンに上る。全国の二酸化炭素総排出量の内訳は産業部門(製造業等)が34%だが、福岡市の産業特性として第三次産業(卸業、小売業、サービス業等)が多いことから産業部門は8%に留まっている。
そのため相対的に家庭部門(戸建住宅、集合住宅等)・業務部門(商業、サービス、事務所等)・自動車部門(乗用車、バス、トラック等)の比率が上がり、この3部門だけで85%を占めるのが特徴だ。
一人あたりの温室効果ガス排出量を全国に20ある政令指定都市で比較した場合、大規模な工業地帯がない福岡市は2番目に低い水準にある。さらに、市域におけるエネルギー消費の総量は、家庭部門をはじめ2007年度をピークに減少傾向となっている。だからといって、カーボンニュートラルに対しておざなりな対応でいいわけではない。「福岡市は、九州で最も人口が多い160万人を超える都市です。多くのエネルギーを消費する都市の責務として、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでいかなくてはなりません」と田尾氏は話す。

国よりも高い目標を掲げた福岡市のチャレンジ目標
カーボンニュートラルに向けて、福岡市の目標と計画を尋ねた。「改定した地球温暖化対策実行計画では、2013年度を基準に2030年度における市域の温室効果ガス排出量50%削減を目標とし、2040年度には実質ゼロにするチャレンジ目標を掲げています」。政府の目標が2030年度において46%削減、実質ゼロにするのが2050年度であることを鑑みれば、福岡市がいかに高い目標を掲げているか分かるだろう。
この目標を達成するための取り組みは、実に明確だ。二酸化炭素総排出量の85%を占める家庭・業務・自動車の3部門の対策に重点を置く必要がある。家庭部門の施策として、省エネ家電購入や再エネ由来電力への切り替えなどの身近なエコアクション(脱炭素行動)に対して交通系ICカードにポイントを付与する「ECOチャレンジ応援事業」の参加世帯を5月から募集した。「こちらは最大5000円相当のポイントという政令指定都市でも最大規模だったこともあり、9月には募集世帯数の上限2000世帯に達しました。10月からは大幅な追加募集を行い、合計10000世帯に対して省エネ家電の買い換えに10000 ポイントを付与するキャンペーンにも取り組みます」。
個人への働きかけとして、補助や助成も充実。家庭部門では「住宅用エネルギーシステム導入促進事業」による補助金があり、自動車部門では電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド自動車(PHEV)・燃料電池自動車(FCV)の購入経費の一部を助成する制度がある。いずれも政令指定都市では最大規模の金額なので、うまく制度を活用しながらエコアクションを起こしてほしい。業務部門においては、「省エネ計画書制度」によってエネルギー削減計画書の作成支援を行う。また、再エネ・省エネに資する機器の導入等に際して低金利で融資する「カーボンニュートラル資金」も今年度創設している。

市外への温室効果ガス削減貢献と主要3部門の削減が課題
福岡市が脱炭素化を加速させていくためには、どのような課題があるのだろうか。「2040年度までに温室効果ガスの排出量実質ゼロという国よりも高いチャレンジ目標を掲げる福岡市は、国際協力による市外への温室効果ガス削減貢献にも努めています」と田尾氏。福岡市と福岡大学が共同で開発した「福岡方式」と呼ばれる準好気性埋立構造は、二酸化炭素の25倍の温室効果があるメタンの発生を抑制する技術として注目されている。これを軸とした廃棄物埋立技術による国際貢献・国際協力を関係機関との連携にて行うことで、途上国における脱炭素化が進む。市外への温室効果ガス削減貢献も、カーボンニュートラルには大切な要素だ。
また、自動車部門のエネルギー消費量は近年横ばいで推移しているものの、先述した通り全体的には減少傾向だ。少子高齢化に伴って人口が減少していく都市が多い中で、福岡市は年間1万世帯増加している。それにもかかわらず家庭部門のエネルギー消費量が減少しているのは、福岡市の省エネに関する取り組みが奏功した表れといえるのではないだろうか。とはいえ、温室効果ガス排出量を2030年度までに50%削減、2040年度までに実質ゼロにするには、比率が大きな家庭・業務・自動車部門の削減が重要。「この3部門については、さらなる省エネ対策が必要です。再生可能エネルギーの導入も、推進していくことが今後の課題です」。市民への省エネ啓発を進め一丸となって目標達成を目指す 福岡市がカーボンニュートラルを達成するためには、私たち一人ひとりの心掛けが欠かせない。電気・ガス使用量の削減や環境に配慮したエシカル消費などの小さなエコアクションの積み重ねがとても大切。暮らしと共にある住宅では、太陽光発電やリチウムイオン蓄電システムの設置など再エネ利用が重要である。福岡市では補助や助成のほかにリーフレットの作成やSNS等での広報・啓発を行っている。
「50%削減の目標達成には、二酸化炭素の排出を世帯あたり年間470㎏の削減が必要です。リーフレットでは脱炭素社会を自分ごととして捉えやすいように、身近なエコアクションを例に削減量を示すなど工夫しています」。そのほか、環境について楽しみながら考える機会として「環境フェスティバルふくおか」といったイベントを催すなど、福岡市は多彩な取り組みに励みながらゼロカーボンシティに向かって邁進している。

福岡市環境局 脱炭素社会推進部脱炭素社会推進課 課長 田尾幸一朗
省エネ住宅に関する補助金制度例

下記の制度はほんの一例で、自治体や国によるものなど補助金はさまざま。どんな設備の住宅が対象となるのか、住宅メーカーとよく相談してほしい。
※2022年10月時点の情報です。変更になる可能性があるため、詳細は各サイトにてご確認ください。

≪福岡市の補助≫

住宅用エネルギーシステム導入促進事業

 

自家消費型の住宅用エネルギーシステムの導
入を推進するとともに、再生可能エネルギー
の導入および省エネルギーの促進を図ること
を目的に、住宅用エネルギーシステムの設置
について経費の一部を助成している。

補  助  額
最大65万円 ※国の補助金との併用可能。

補助内容
①リチウムイオン蓄電システム:機器費の1/2(上限40万円)
②V2Hシステム:機器費の1/2(上限20万円)
③家庭用燃料電池:定額5万円
④太陽光発電システム:2万円/発電出力1kW(上限20万円)
※①②は、太陽光発電システムとHEMSの設置が必須条件。
※④は、集合住宅のみ対象。

補助要件
要件については、HPを参照。

申請受付期間
2022年5月6日~2023年1月27日
※申請が補助枠に達した時点で受付を終了いたします。

対  象  者
・戸建住宅:個人
・集合住宅:個人、管理組合等
※詳細については、HPを参照。

詳細はこちら
https://www.city.fukuoka.lg.jp/kankyo/j-suishin/hp/energy-system_reiwa.html

≪国の補助≫

●LCCM住宅整備推進事業[国土交通省]

補  助  額
最大140万円/戸
※令和3年度サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)に採択された方は採択額が上限です。

補助内容
以下の費用の合計額の1/2
・設計費
・建設工事等における補助対象工事の掛かり増し費用

補助要件
・ZEHの要件を満たすこと
・再生可能エネルギーを除き、一次エネルギー消費量が現行の省エネ基準値から25%削減されているもの
・ライフサイクル全体のCO2排出量を算定※し、その結果が0以下となること
※建設、居住、修繕・更新・解体の各段階を通じたCO2排出量が、太陽光発電によるCO2削減量を下回ることを、指定のツールを用いて評価します。

申請受付期間
2022年11月中旬~2023年1月末
※予算の執行状況により、受付期間が変更になる場合があります。
※申請金額の合計が予算に達した際は、早めに受付終了となる場合があります。

対  象  者
住宅供給事業者
※住宅供給事業者より建築主・住宅購入者に補助金相当額の還元があります。

詳細はこちら
https://lccm-shien.jp/index.php/outline/

●次世代ZEH+(注文住宅)実証事業[経済産業省]

補  助  額
100万円/戸+α

補助内容
・蓄電システム(定置型):2万円/kWh、補助対象経費の1/3または 20万円のいずれか低い額を加算
・燃料電池:2万円/台
・V2H充電設備(充放電設備):補助対象経費の1/2または75万円のいずれか低い金額を加算
・太陽熱利用温水システム:液体式17万円/戸、空気式60万円/戸

補助要件
「ZEH+に係る要件」を満たしていること且つ、以下のいずれか1つ以上を導入すること
・蓄電システム  ・V2H充電設備(充放電設備)
・燃料電池    ・太陽熱利用温水システム
・太陽光発電システム10kW以上

申請受付期間
2022年8月29日~11月18日
※申請金額の合計が予算に達した際は、その直前の日17時集計までに届いた申請書までを 受付対象とし、それ以降の申請は原則受理しません。

対  象  者
新築住宅を建築する個人

詳細はこちら
https://sii.or.jp/meti_zeh04/zeh_plus/public.html


EVENT INFORMATION

 

今年はリアル(対面)と
オンラインのハイブリッド開催
リアル会場では、次世代自動車展示・試乗会、本の交換会、環境に関するさまざまなワークショップなどの企画が盛りだくさん。オンラインイベントでは、環境に関するさまざまな情報を発信する


環境フェスティバルふくおか2022
■リアルイベント
[開催日時]10月29・30日10:00~16:00 [会場]福岡市役所西側 ふれあい広場ほか(入場無料)
■オンラインイベント
[開催日]10月1日~10月31日 [HP]https://kankyo-fukuoka2022.com

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