2023年11月23日 PR
令和6年で25周年を迎える博多座。最初の歌舞伎公演として上演されるのが『二月花形歌舞伎』だ。松本幸四郎と市川染五郎親子による〝乱歩歌舞伎〞と明るい舞踊劇の二演目に期待が膨らむばかり。2024年2月3日からの公演へ向けて、見どころや意気込みを伺った。
― 最初の演目『江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)』は江戸川乱歩の『人間豹』という小説が原作となっています。この作品の魅力について教えてください。
幸四郎 私が企画から10年かけて形にし、父(二代目松本白鸚)に演出をお願いして、2008年に初演された思い入れのある作品です。ストーリーは、半人半獣の殺人鬼・恩田と明智小五郎の対決が軸。その中に、幕末の江戸の混沌とした空気感や、それまでの歌舞伎にはあまりない乱歩作品ならではのモダンな雰囲気も魅力です。
染五郎 私は三歳の時に初めて観て以来、憧れてきた作品です。それを江戸川乱歩生誕130年と博多座25周年のタイミングで演じられるのは本当にうれしく思います。作品としての魅力は色々とありますが、「人間豹」という人間と獣の両方の要素を持つ役は歌舞伎ではとても珍しいので、新鮮な気持ちで観ていただけるのではないでしょうか。
― 宙乗りも大きな見どころとなっています。
幸四郎 染五郎が宙乗りをしますが、演出面でも工夫を考えています。
染五郎 個人的にも宙乗りから最後の盛り上がりに向かう場面が大好きです。高いところは苦手なのですが、頑張りたいと思います(笑)。
― もう一つの演目『鵜の殿様』の見どころについても教えてください。
幸四郎 『江戸宵闇〜』とは打って変わって明るく、登場人物の太郎冠者と大名がよく踊る舞踊劇です。ストーリーとともに、音楽や化粧、衣裳だったりと歌舞伎らしいものが散らばっているので、いろんな発見があって楽しんでいただけます。
染五郎 コミカルで笑っていただける一幕をお見せしたいなと思います。特に鵜飼の踊りでは、本当に鵜飼をやっているように錯覚させる技術が必要です。父との息が合った踊りができるよう、たくさん稽古をして臨んでまいります。
― 仕事(舞台)に向かう際に意識していることはありますか?
幸四郎 いつも「今日こそは」という思いがあります。舞台は自分が満足したら終わりですから、いつも理想を目指しています。でもお客様の前に立ってしまえば、今はここまでという開き直りも大切かなと。「今日こそは」「明日こそはなんとか」という連続です。
染五郎 今この瞬間を大事にするという気持ちを持つことですね。その積み重ねで今も過去も作られていますし、自分に一番刺激を与えてくれるのが今の自分だと思うので。
― 最後にメッセージをお願いします!
幸四郎 私は母が福岡出身なので博多座は特別な場所です。この地で思い入れのある作品を上演させていただきますので、ぜひ劇場まで足をお運びください。
染五郎 『江戸宵闇〜』と『鵜の殿様』の作品の対比も楽しんでいただければと思いますので、みなさんのお越しをお待ちしております。
博多座
[公演名] 二月花形歌舞伎 [演目] 一「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)」、二「鵜の殿様」
[ 公演期間] 2024年2月3日(土)~18日(日)※休演日/8日(木)
[開催場所]博多座(福岡市博多区下川端町2-1) [チケットのご予約・お問い合わせ]092-263-5555
[座席料金]A席15,000円/特B席12,000円/B席9,000円/C席5,500円
[発売日]12月9日(土)午前10時より電話予約・インターネット発売開始
[HP]https://www.hakataza.co.jp/
『江戸宵闇妖鉤爪』は、2008年に、江戸川乱歩の小説「人間豹」を原作に松本幸四郎(当時染五郎)が歌舞伎として舞台化し、父・松本白鸚(当時幸四郎)が九代琴松の名で演出を手掛けた作品。『鵜の殿様』は、西川右近の振付により「名古屋をどり」にて初演された狂言仕立ての松羽目舞踊。
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2024年07月25日 発行
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